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和風創作フレンチ
2024年10月23日 13:50
先週、大変遅ればせながら梨木神社へ萩を見に行った。見頃を過ぎていたからか、参道の両側に萩の生い茂る境内は人もまばらで、かえって一人、ゆっくりと万葉の歌に想いを馳せることができた。秋萩におきたる露の風吹きて落つる涙はとどめかねつもいい歌だ。前半は自然の描写、後半はそこへ自らの心と身体を、重ね合わせている。と、言ってしまえばそれまでなのだが、それが僕の心に、こんなにも美しい情景を描き
2024年10月16日 21:42
以前、「さつき山」の歌を紹介したが、これもまた、特に説明のいらない歌かもしれない。そしてやはり、詠み人知らず。万葉にはこういう歌があって、ほんとうに素晴らしいなと思う。君に恋ひ萎えうらぶれ我が居れば〜して、〜して…と言葉(音)の上ではやたら動きがあるように見えるが、実態は、「(私が)恋をして、いた」というだけのことであり、実際、恋をすると人は悶々として心乱れ、しかし実際には何もしな
2024年4月25日 09:06
飲む水に影さえ見えて。この表現がとても斬新で印象に残った。その印象からして、てっきり詠み人が恋をしているのかと思いきや、よく見ると「恋らし」の主語は「わが妻」で、またしても衝撃を受ける。ナルシストなのだろうか…。いや、ナルシストなら水の鏡に写る影は自分のはず。やはり彼は、妻を愛していたのだ。現に、後半の「世に忘られず」の主語は彼だと読めるようになっている。それにしても、水に写った影を見たと