ウォラベルとウェルビン
ドラマ・映画好きなキャリアコンサルタント xyzです。
前回紹介した韓国ドラマ「会社行きたくない」は、全12話でしたが、各回で1つか2つ、仕事や会社生活にまつわるテーマが取り上げられていました。
テーマの中で特に気になった「ウォラベル」について、今日は書こうと思います。
ウォラベルって?
外来語を自国語の発音で読むと、本来の発音から大分変化すること、ありますよね。この「ウォラベル」もそうです。
もともとは英語のワーク・ライフ・バランス(Work Life Balance)を略したものを韓国語読みして「워라밸ウォラベル」となりました。
夕方のある暮らし
前の記事の最後にも書きましたが、韓国は、週52時間労働(残業代含)で、日本の法定労働時間(週40時間)と比較しても長い労働時間です。いくら残業代含む時間とはいえ……長い!
しかし、この52時間、働き方改革で短縮されての52時間と知りました。
それ以前は一体どれだけ長かったの(°_°)…。、 【答え】68時間
少し古い記事(2019年)になりますが、この韓国での「働き方改革」に端を発した、労働時間短縮の影響に関する記事を載せておきます。
勤務時間を短縮して退勤時間を早め、夕方のある暮らしを、と推進された働き方改革。
「ウォラベル」という言葉もこの頃に言われ始めたようです。
仕事と私生活をバランス良く。
退勤後の時間を充実して過ごす。
なんて魅惑的な響きでしょうか!
しかし実際はそう甘くはないようで……。
ドラマでの「ウォラベル」の描かれ方
さて、ドラマの11話のテーマはこの「ウォラベル」。
ハンダース社でも「ウォラベル」推進の動きが!
経営難で経費削減を目論む経営陣と、社長にいい顔をしたい理事の思いつきから、突然始まったウォラベル活動。(このドラマが2019年制作なので、当時のタイムリーな話題を取り上げていたのですね。)
社員のPCのスクリーンセーバーにも「ハンダースは社員のウォラベルを尊重します」などと出てきます。
初め、社員たちの反応は「自由時間が増える!」とばかりに喜んでいましたが(カン・ベッコ以外全員 笑)会社主導のウォラベルの弊害に徐々に気づき始めます。
まず、残業できない。
仕事を定時に終わらせなければならないプレッシャー。
でも結果はシビアに求められる。
(ドラマではそこまで書かれていませんでしたが、現実問題として韓国のとある企業では「週52時間勤務制の実施により賃金が減少した」として、差額分を補填しろという労働争議になりかけたらしいです。)
また、せっかく定時に終わり退勤後の時間が増えても、デートの約束もなく家族との団欒もなく、趣味や楽しみのない人にとっては、どうやって夕方の時間を過ごしたらいいのか悩んでしまうという……!(むしろ困っている人も!)
「夕方のある生活」というものもなかなか理想通りにはいかない様子。
ドラマの登場人物が呟きます。
「ウォラベルってなんだよ。一体、何のためのウォラベルなんだよ……」
本来ウォラベル自体は良い考えなのですけれどね。
会社側から一方的に押し付けられたウォラベルでは、社員たちにはありがた迷惑、不便こそ感じても、幸せを感じられないようでした。
この「ウォラベル」に限りませんが、どんなに良い制度を作ったとしても、社員が制度の内容や活用法を「理解」できない、制度の理念や目的(言い換えれば上層部の思い)に「共感」できないものならば、意味がないし形骸化しかねないのだなぁ、と。
作りっぱなし、押し付け、丸投げ、はダメですね。
日本での取り組みは
さて、この「ワーク・ライフ・バランス」日本ではどのような取り組みがされているでしょうか。
厚生労働省のHPより。
内閣府男女共同参画局では、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章を定めています。
このような憲章があるということは、逆に、現実は仕事と生活が両立しにくい状況である、と言えます。
そこで、憲章では【多様な選択肢を可能とする仕事と生活の調和の必要性】を説いています。
ここでも登場する多様性と持続可能性。登場頻度の高い言葉ですね。
キャリアにおける両輪
内閣府のHPには次のような記載もありました。
上にある言葉を真似て喩えるなら、仕事と生活も車の両輪、どちらも不可欠であり大切なものですね。
両輪がバランスよく動いてこそ、車はよく走り、走った後には轍(わだち)ができます。
轍は、キャリア(career、carrier)の語源と言われており、人が辿る行路やその足跡、経歴、遍歴等も意味するようになりました。
はい、キャリア・コンサルタントの名称にもついている「キャリア」です^^
これまで進んできた道のりを振り返ると、後ろには轍=キャリアが残されている……より良いキャリアのためには両輪(仕事、生活)のバランスが重要になってくると言えるでしょう。
ウォラベルとウェルビン
人生の各段階に応じて、多様な生き方が選択・実現できる社会。
「仕事と生活の調和憲章」に出てきた表現です。
それぞれのライフステージで経験するさまざまなライブイベント。それらを楽しみつつ経験しながら、自分に合った柔軟な働き方、生き方を自由に選べること。またそれが実現可能な社会。これこそ、ワーク・ライフ・バランスの体現でしょう。
これはわたしなりに考えたウェルビーイングの解釈です。
やはり、ワーク・ライフ・バランスとウェルビーイングは切っても切れない関係にあると思います。
ワーク・ライフ・バランスを「ウォラベル」と呼ぶならば、きっとウェルビーイングにも韓国語呼びがあるのではないか?と思いまして調べたら……ありました!
「웰빙ウェルビン」と言うそうです!
それでは今日はこの辺で。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました^^