会社行きたくない
ドラマ・映画好きなキャリアコンサルタント xyzです。
今日のタイトル見てドキッとされた方!
これはわたしの心の声……ではなくて、ドラマのタイトルです!
今回取り上げるのは、韓国ドラマ「会社行きたくない」(原題は회사가기싫어)です。珍しく、どストレートな直訳の邦題。
ドラマの概要はこちらで。
まずはオリジナルの韓国版ポスター。
続いて、日本版ポスター。
このこと、毎度言っている気がしますが、日本版のポスター……改悪すぎやしませんか。ピンク色に代表されるファンシーカラーやキラキラの多用、必要以上にコメディータッチ加えてきたり。なんで?
日本版考えている人のセンス……何とかなりませんかね。下手に手を加えずそのままがいいような。
シットコム風お仕事ドラマ
舞台はソウルの文具会社、ハンダース。
営業企画部の20代から50代までの社員たちに1話ずつスポットライトが当たります。
お仕事ドラマといえば、以前こちらでも紹介した、韓国ドラマの名作『ミセン』
『ミセン』は非常にシリアスなドラマでしたが、こちらの『会社行きたくない』はそこまで重い雰囲気はありません。かなり、おふざけ要素入ってきています。(その、おふざけ要素がドラマを見づらくしている気も。苦手な人もいるかもしれません。わたしも初めはハマれませんでした←)
が、ソウルの、リアルなイマドキの会社員たちの葛藤や悩み、外国人視点での韓国社会文化の考察などが描かれていて、なかなか興味深いです。(登場する外国人タレントが、皆韓国語ペラペラです!)
ドラマの作りとしては、これも以前記事にした、イギリスのドラマ『The Office』に似ています。
フィクションですが、ドキュメンタリー仕立て(モキュメンタリー)で社員へのインタビュー形式のコメントや、大学教授、評論家など専門家(これは本物)の意見を挿入したり、とシットコム風ドラマです。
「ハラスメント」「アラサー女子のキャリア観」「リストラ」「非正規vs正規」「ワーク・ライフ・バランス(韓国語でウォラベル)」「ワーキングマザー」「社内恋愛」「年俸交渉」などなど、職場にまつわる様々なテーマを取り上げています。
エース社員がやってきた!
主人公は、ハンダース社きってのエース、カン・ベッコ次長。
超高速昇進を果たした伝説の男。
余暇には休日出勤(!)というワーカホリック。
鳴り物入りで営業企画部に異動してきたから、部長をはじめ部員たちは戦々恐々!
座右の銘は「ノ・テ・リンダス!」(スペイン語で「諦めないで!」)
という熱い(暑苦しい←)男。
仕事ができすぎるせいで、上司には煙たがられ、同僚や部下からは負担に思われ……少々浮いているベッコですが、彼なりに部署をまとめようと日々奮闘しています。
リーダーとして、部員たちをよく観察しており、さりげなくサポートするベッコ。手柄を独り占めすることなく、部下に花を持たせてあげたり、ミスをした部下を責めず、リカバリーする方法を一緒に模索したり。本当に絵に描いたような良い上司なんですよ……。
リストラノートを書いている?!
これほど部に馴染もうとしているベッコなのに、部下の課長に反抗的な態度を取られ続け、ついにはあらぬ疑いをかけられてしまいます。
元々、ベッコを快く思っていなかった課長。ゆくゆく次長のポジションに着くのは自分だと思っていたから、余計によその部署から来た、しかも自分より年下のベッコが気に入らないんでしょうね。
ベッコの机の上にあったノートに、部員の名前がリストになっているのを偶然見かけた課長が、ベッコがリストラ要員を探している?と疑心暗鬼に。
やっぱりあいつは俺たちの敵なんだ、と勝手にヒートアップする課長。
ノートの正体
部員全員が集まった飲み会の席で、課長が部員たちに「ベッコがノートにリストラ要員候補の名前を書いている!」と騒ぎ立て、ベッコを糾弾し始めます。
驚き慌てる部員たちと当惑するベッコ。
ベッコは「誤解だ」と言いますが信じてもらえず……ノートを見せろと言われて出す羽目に。
リストラ要員候補を書いたメモではなく、部員ひとりひとりの良いところ、素敵なところを書き留めた「サンキューノート」でした。
ノートは回し読みされ、皆自分について書かれている部分を読んで、喜んでいます。もちろん、反抗的な課長のことも、誉めてあります。照れくさそうにしているベッコ。気まずそうな課長(でも決して謝らないw)。
この騒動のおかげで、部員たちのベッコに対する信頼が深まりました。
「よかった探し」と「ピアトラスト」
子供の頃によく読んだ本に『少女パレアナ(ポリアンナ)』があります。
「愛少女ポリアンナ」のタイトルでアニメ化もされたそうです。
孤児パレアナは亡き父の「つらいことがあっても、物事の明るい部分を見て生きるように」の言葉を守って、どんな逆境にあっても明るく生きていく、という物語です。
どんな物事にも良いことがある、と「よかった探し」のゲームをするパレアナの姿に、次第に周囲の人々も感化されます。
そんなパレアナにちなんで作られたという心理学用語がポリアンナ効果だそうです。
ベッコの「サンキューノート」のくだりで、ふとパレアナの「よかった探し」を思い出しました。
職場でメンバーの良い部分を認め、感謝して、それを言葉にして伝える。
ポジティブな言葉が人に与える影響は大きく、それは職場の雰囲気、士気を上げる効果もある。
この、職場での「よかった探し」を定量・可視化しているサービスがあるようですね。
こんなアプリがあるのを知りました。
ワーク・エンゲイジメントを高める企業向け相互称賛アプリ、とのこと。
興味深い!
一般社団法人ピアトラストというところが運営組織です。
従業員同士で相互に称賛を送り合える、社内コミュニケーションサービスの開発のために作られたアプリだそうです。
従業員が会社への貢献と自身の成長を実感できるように、社員同士の定性的な評価を「称賛」という切り口でで定量化し、カードの蓄積=同僚からの信頼の蓄積、と評価を可視化、実感できるのが特長。
Google社でも「ピアボーナス制度」があるそうです。
Googleと言えば、以前紹介した映画の舞台でした。革新的な取り組みの数々で知られるGoogle社。
これらの取り組みは、ベッコの「サンキューノート」の進化形ですね!
ワーク・エンゲイジメント
リーダーの役割は、チームメンバーの士気を高め、より良い人間関係を構築し、その結果、生産性も向上させる……職場にそんなプラスのスパイラルを作ることではないでしょうか。
プラスのスパイラルの効果で、メンバーのモチベーションが上がり、風通しの良い職場で、ポジティブな職場文化が生まれ、ワーク・エンゲイジメントも高まる。
ワーク・エンゲイジメントについて書かれた記事を参考に貼りますね。
熱意、没頭、活力。
カン・ベッコはこの三つを兼ね備えている、良きリーダーなのではないでしょうか?
さて、できる男ベッコは、ドラマ終盤で業務提携先のライバル会社から引き抜き……高額スカウトされます。ベッコは「少し時間をください」と即答を避けました。
さてベッコの決断やいかに?(ネタバレ回避)
今回はこの辺で。
最後まで読んでくださりありがとうございました^^
追伸 このドラマ、韓国の諸事情やトレンド、新語や造語を知ることができてとても面白く興味深かったのですが、何に一番驚いたって、韓国は週52時間も働かされるってことです。(このドラマの会社だけ?)
日本は基本週40時間が法定労働時間(例外あり)なので「え!52時間!」と驚いて二度見(二度聞き)してしまいました(°_°)