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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第308回 生のよろこび 生のかなしみ(田村隆一)
生のよろこび 生のかなしみ
死のかなしみ 死のよろこび
ぼくらはその世界で漂流している
神あらば
大爆笑になるだろう
戦後を体現した詩人、田村隆一(たむら りゅういち、1923~1998)の「生きる歓び」の冒頭。飼っていた猫と尾長鳥を追悼する。死が生を生み、死を通って生がよみがえる。
田村は東京府巣鴨村で生まれた。生家は祖父の代から鳥料理店を経営していた。中学時代から詩作を始める。商業学校から明治大学文芸科に進学。
卒業後、鮎川信夫らと詩誌『荒地』を創刊する。1956年、処女詩集『四千の日と夜』を出版し、好評を博した。1963年に発表した『言葉のない世界』は英訳され、米国で出版された。
1967年から翌年にかけてアイオワ州立大学に客員詩人として招かれる。その後も谷川俊太郎と詩の朗読のために渡米した。また、エッセイや旅行記も書き、翻訳家としても知られた。主にアガサ・クリスティやクイーンの推理小説の名訳を多く残している。