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映画メモ 『アメリカン・ビューティー』

アメリカン・ビューティーを観た

SAVE THE CATの法則のジャンルを理解する試み、今回観たのは「アメリカン・ビューティー」。1999年、サム・メンデス監督。ジャンルは「組織のなかで」である。
地球外少年少女のために入ったNetflixで配信してた。

主人公はどう変化したか

例によってどんな物語だったのか捉えるために、主人公の変化を追いかける。

平凡な核家族、平凡な会社に勤める中年の主人公は仕事に没頭する妻にうんざりする一方で娘からは嫌われていた。普通の家庭の中で自分を抑え父親として振る舞う、実に無気力な状態がこの物語の主人公のスタート地点だ。

ある日主人公は、"いい両親"であろうとする妻に強引に連れられて行った娘のチアリーディングの舞台で娘の友達に一目惚れする。時を同じくして隣に越してきた3人家族の長男は実は大麻の密売で金を稼いでおり、主人公もそれを手にする。恋と麻薬ががきっかけとなり自分の欲望に忠実に、家族ではなく自分を最優先しはじめる主人公。

そして主人公だけじゃなく妻も同業の男と不倫したり娘も隣の長男とこっそり付き合ったりと、抑圧された生活から自分を解放していく。家族はバラバラになっていく。

最終的に娘の友達と一線を越えようかというところで娘の友達が処女だったことを知る主人公。その瞬間、我に返る。特別だと思っていたものは特別ではなかった。平凡な家族、妻と娘こそ最も自分が愛すべきものであったことにようやく気づくのだ。しかし平凡であることの幸せを自認したところで主人公はすれ違いから恨みを買ってしまっていた隣家の父親から殺されてしまうのだった・・・。死を暗示させる演出は最初からあったものの、衝撃の結末だ。

「組織のなかで」は集団の中にいる自分と、本来の自分らしさやアイデンティティの葛藤を描くもの。まさしくそんな内容になっていた。

Goodだと感じだこと

登場人物が全員狂ってる。

妄想、盗撮、不倫、嘘、見栄、ドラッグ。こうした欲求を描くことで人間のリアルさが出ているからか

終始緊張感が漂う雰囲気で目が離せない

はじめの娘の言葉「父親を殺してくれる?」から主人公の死を初めから予感させる展開でずっとどうなるんだろう、というフックが引っ掛かり続ける感じがした。最後に銃を突きつけられる瞬間まで妻の車が徐々に家に近づいていく演出もハラハラさせる。(しかも実際に撃ったのは妻ではないといういい意味での期待の裏切りもある)

性的欲求を表現するカットで「手」を強調して映しているところ

主人公の妄想で娘の友達が主人公の腕に触れようとするところは手の表情だけ撮って表現しているのスゴイと思った。
隣家の父親が実はゲイだったことがわかるシーン、ここも主人公の背中に回した手で力が入っていることを表現していた。

最後に

観てなかったのを後悔。めっちゃ面白かった。サム・メンデス監督の他の作品も見てみようと思う。

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