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「物を見て過去と再びつながる。」

週末に引っ越しをするため、せっせと荷造りを進めている。部屋の中はダンボールにあふれ、足の置き場もないくらいに埋まっている。

「物は置かない質」と自分で思い込んでいたが、思った以上に物が溜まっていた。半分以上は本だ。搬入まであまり時間もないし、全て終わった後に一気に売ってしまおう。

荷造りをしているこの感じが懐かしい。引っ越しをするのは二回目である。一回目は京都から横浜の大学に移ってくるとき。新しい場所に行く時はいつだって、胸の高鳴りがやまないものだ。

それと同時に、出てきたものを見返して、昔のことを思い出してもいた。ものと対峙することが、過去と再びつながることになるなと、しみじみ思うのである。

大学編入時代に使っていたテキスト。憲法の内容なんて、今となってはあまり覚えちゃいないけど、昔は憲法の条文と具体的な事案を必死に覚えてたなぁ。押しつけ憲法論とか、言葉が懐かしい。

これだけじゃないけど、他にもいろいろテキストを見ては、ノートに書いてた記憶がある。大学の人にはだれにも言えずに辛かったけど、今となっては良い経験だったし、何よりあの時間は楽しかったなぁ。

今も何かしらの目標を持って前に進めてるのは、この経験があってこそなのかもしれない。

ごそごそ本をかき分けていると、三島由紀夫の作品が大量に出てきた。そういえば忘れもしないコロナ禍の時だったな。やることも特になかったから、むさぼるように読み進めていたような気がする。

初めて金閣寺を読んだときの衝撃は計り知れなかった。なんてやばい主人公なんだろうと。ちょっと久しぶりに読み返したくなってきたな。

そういえば、本格的に小説を読み出したのは、この時期だったな。時期尚早だったのに、ドストエフスキーやバルザックの作品を手に取り、読み耽っていたような記憶がある。

あぁ、まとまった時間を作って、ゆっくり本が読みたい。でも今は少しだけ我慢の時期だなぁ。さてちょっと荷造り進めて、今日は床に就こう。

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はまうず
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