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『街とその不確かな壁』を読み終えた

自分にとってとても大切な物語になるかもしれないと思い、一行ずつなぞって読んでいたのでここまでかかってしまった。
章立てで一日3章くらいまでと決めていたので読む時間が取れない日もありなかなか先に進めなかった。
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を昔読んでいて、今になってこの物語を読むと自分の人生と重なったり、そうでもなかったりする。
私は心を通わせた人と結婚もしているし、壁の中の世界へ入っていってしまったころもたぶんない。ただ、自分の中で失われてしまったと思う時間があり、今現実と向き合っているということがシンクロしているように思える。
子易さんのような話を聞いてくれる人もいる中で、ここではない図書館で働いていけたらいいのにと思うこともある。
あとがきで書かれていたように昔、完成しなかったものにケリをつけるということは今の私が望んでいることではあり、その一歩を踏み出せずにもんもんとしていることが『街と、その不確かな壁』と『街とその不確かな壁』の関係を知ることができたことで私の背中を押してくれればいいのにと思う。

ごく最近、映画『君たちはどう生きるか』を見てきたことでこの神隠しにあい、それでも自分の意志で厳しい現実に戻ってきて生きていくということが突き付けられたように感じている。
私は壁の中の街や塔の中下の世界に行くことができないので、やはりきつくても現実の世界で生きていくしかない、自分の意志で現実で生きていくことを選ぶしかないと言われてしまったと感じている。
これをもって何かを自分で変えるのか、そのまま生きていくのかどうしようか。

話しそのものの感想としてはきみに何の変化がなかったことが残念だった。話しが先に進むのであれば個人的にはきみにもう一度会い消えてしまったきみともう一度意思を交わせればよかったのにと思う。

最近、昔好きだったものを繰り返してみていることにそれでいいのかと感じている。今の自分に寄り添った物語や歌があるのではないか、そういったものを探していくことをあきらめてはいけないのではないかと感じている。
その一方で自分の血肉になった物語を大切にしていきたいとも思う。

村上さんはカラマーゾフの兄弟のような総合小説を書きたいと言われていたと思う。これからはそれが書かれることを願って暮らしていきたい。

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