Double Albumはお好きですか? /その壱
LP1枚でもアルバムを通してクオリティを保つのは難しいと思う。
ましてやDouble Album(2枚組)で達成するなんて殆ど奇跡。
でも、たまにあるんですよね。
そもそも何故アーティストはレコード会社の反対を押し切ってまで2枚組アルバムを作るのだろう???
曲が湧き出して来て止まらないから?
価格も高くなって売れない筈なのに。
しかも、アーティストが内容に満足していても売れなければ、レコード会社から契約を切られたり、次回の内容に口出しされたりするわけだから、大変じゃないのかな。
そんなリスクを伴う「2枚組アルバム」ですが、僕は「盛りだくさんでバラエティに富んだ」2枚組という存在が好きです。
得した気分になったり、期待感でワクワクして、ついニヤニヤしてしまいます。
やっぱり「White Album」の影響ですね。
そこで、これまで聴いたDouble Albumを
ひたすら身勝手で偏った視点で2枚組アルバムの評価をしたいと思います。
今回(その壱)はこの6枚です。
▪️The Beatles(White Album) - The Beatles
僕にとってビートルズは、音楽的な物事のポジションを判断する「モノサシ」です。
このアルバム『The Beatles』をパーフェクトな出来とは思いませんが、「2枚組とはこうあるべき」という見本となるアルバムだと思います。
◎僕的『スキ度』: ★★★★
(満点は★★★★★の5つ)
「Paulはこのアルバムがバンドとして作られていない点で不満らしいけど、自分としては好きなアルバムだ」とJohnが言ってます。
確かにこの当時辺りからメンバー同士が険悪な状況だったので、メンバーはバラバラに録音することが多かったようです。そのため、ソロ作品の寄せ集め感は否めません。
しかし、才能溢れるソングライターが3人いると違いますよね。とにかくバラエティに富んでいて楽しめます。
そして、Paulが曲順に相当拘ったことでバンドらしいアルバムが維持されたと思います。
クロスフェードや曲間を無くしたことも寄せ集め感を軽減して、アルバムとしての纏まりを感じさせます。
PaulとGeorge Martinの執念ですね。
やっぱりスゴイです。
最後に『1枚にするなら...』で遊んでみました。Paul 7曲、John 5曲、George 2曲、Ringo 1曲の全15曲。
曲順にも拘わりました。
A面
Birthday
Dear Prudence
Sexy Sadie
Blackbird
While My Guitar Gently Weeps
Wild Honey Pie
Rocky Raccoon
B面
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Glass Onion
Savoy Truffle
Cry Baby Cry
Helter Skelter
Happiness Is A Warm Gun
Good Night
I Will
皆さんは如何でしょうか?
▪️Trout Mask Replica - Captain Beefheart and his Magic Band
次がコレかい!
名盤紹介に釣られて買いました。
しかし、何回聴いても良さが分からない。
ジャケットのデザインは好きです。
だけど、何回トライしても意味不明。
◎僕的『スキ度』: ★☆
(満点は★★★★★の5つ)
長年、様々な音楽を聴いていると、最初は理解できないアルバムは良くあります。
例えばビーチボーイズの『Pet Sounds』がそうでした。
世間の高評価が気になって買ってみたものの良さが分からず放っておいて、しばらくしてまた聴いてみてもやっぱりダメで…を繰り返してるうちに、あるとき「ストンっ!」て感じで腹に落ちました。
20年位かかったかな。
『Pet Sounds』の場合、ブライアン・ウィルソンがビートルズの『Rubber Soul』に衝撃を受けて作り、コレを聴いたポールがブッ飛んだという有名な逸話が邪魔していた。
つまり、ビートルズを意識せずに(比較せずに)聴けたとき、良さが分かったわけです。
でも、この『Trout Mask Replica』は糸口が見つからない。
垂れ流し的な聞き方はできるが真剣に向き合って聞くことはできないですよね(笑)。
つまり、今でも分からないままです。
▪️Goodbye Yellow Brick Road - Elton John
エルトン・ジョンのアルバムはハズレが少ないと思います。
短命のアーティストならいざ知らず、そこそこ続いているアーティストでは珍しい。
彼の2枚組アルバムは、『Goodbye Yellow Brick Road』と 『Blue Moves』の2枚あります。
『Blue Moves』はどちらかと言うとハズレ(僕の好みではない)の部類ですが『Goodbye Yellow Brick Road』は、ほぼパーフェクトの出来です。
シングルの3曲
Goodbye Yellow Brick Road
Bennie and the Jets
Saturday Night's Alright For Fighting
はもちろん名曲でヒットしていますが、その他の曲もバラード、スカ、ミディアムテンポ、カントリー、ロックンロールなどなど『安心エルトン・ジョン水準』の傑作揃いです。レベルが高く曲調も多様なため全く飽きないことも魅力です。
◎僕的『スキ度』: ★★★★★☆
(最高は★★★★★の5つ)
その中で、僕のイチ推しが「歌うカウボーイ」をモチーフにしたカントリーバラード『Roy Rogers』です。
エルトン・ジョンって何を歌わせても上手いなあ。
▪️English Settlement - XTC
XTCに関しては好き過ぎて『恋は盲目状態』のため、正しい評価ができないかもしれませんが、全てのアルバムが文句なしです。
その中でも特に前作の『Black Sea』とこの『English Settlement』は、これまで聴いた全てのアーティストの全てのアルバムの中でもベスト20に入る超々々〜名盤。
XTCへの愛情とこのアルバムについては下の記事にも書いてますので読んでいただけると嬉しいです。
さて『English Settlement』ですが、イングランドらしいポップセンスと靄のかかった森の中のようなサウンドで、『英国箱庭ヒネクレ・ポップ』好きにはたまりません。
明らかにアコースティックなサウンドが増え、ステージ型のロックバンドから、アルバム型の万能型アーティストへの転換となったアルバムです。ヒュー・パジャムがプロデューサーとしての出世作となったアルバムもあります。
強いて注文を付けるとすれば、A面、C面、D面は各4曲ずつ入ってますが、B面のみ3曲なので、もう1曲入れて欲しかったです。
何故なら、このアルバムからのシングルのカップリング曲がどれも最高の出来だからです。1曲と言わず全部入れて
①Blame The Weather
②Tissue Tigers
③Punch And Judy
④Heaven Is Paved With Broken Glass
⑤Chain Of Command
⑥Limelight
この中からせめて1曲でも入れてくれたら、完璧でした。
この『Heaven Is Paved With Broken Glass』の7インチシングル・バージョンが入っていたら...。
◎僕的『スキ度』: ★★★★
(最高は★★★★★の5つ)
▪️Sometime in New York City - John & Yoko / Plastic One Band
ライブアルバムは除くと書きながら2枚目がライブ盤という反則チョイス。
John Lennonに多大な影響を与えた小野洋子の一般的な評価はかなり微妙で、彼女を好まないビートルズファンは多いと思います。僕もそれほど好きではないですが、音楽的に絶対ダメかと言うとそうでもないです。
このアルバムは『Imagine』の次のアルバムでかなりYoko色、政治色が強い内容です。日本人には理解しづらい歌詞ですかね。時代も感じます。
スタジオ盤に絞って言うと、バックバンドのElephant’s Memoryの演奏がカッコイイですね。フィル・スペクターらしいWall of Soundながらもロックを感じます。
『New York City』は「これぞレノン」と言える完璧なRock’n Rollナンバー。この曲を嫌いな人はいないでしょう。
そして僕のイチオシはシングルにもなっている『女は世界の奴隷か』です。Woman Is the Nigger of the Worldという過激なタイトルです。アメリカのラジオ曲では放送禁止になってますね。
曲調は「日本の演歌じゃないか」ってツッコミたくなりますが、そこが何とも言えず魅力的なんですよね。
イントロから昭和演歌のフレーバー全開。
バースもコーラスもコブシが利いてて、「海外のロックファンに分かるの?」と思っちゃいます。
アメリカチャートでは57位。納得です。
このアルバムに関してはスタジオ盤1枚で良かったのでは...と思います。
ですので、評価はやはり低めです。
◎僕的『スキ度』: ★★
(最高は★★★★★の5つ)
▪️SECOND EDITION.(Metal Box)
- Public Image Ltd.
初回限定盤は缶入りの45回転3枚組でリリースしたモノ。後にダブルアルバムとしてリリースされました。
正直言ってPunk Rockには全く興味がなくて、Sex Pistolsがデビューした時も「馬鹿なバンドだな」と思ったものです。
バンクと言うのは精神的なモノであってサウンド的には下手なハードロックでしたから、ピンと来なかったわけです。ただジョニー・ロットンのボーカルは好きじゃなかったけど個性的だと感じました。
(後になってパンクも聴くようになりました。食わず嫌いは良くないですね)
この流れからPublic Image Ltd.の1stアルバムもノーマークでしたが、この『Second Edition.』を聴いたときにはブッ飛びました。
ジャー・ウォブルのDUB風のBass、
キース・レヴィンの切り裂く様なGuitar、
そしてタイトなDrumsが作るサウンドは衝撃的で、このサウンドに乗ったジョン・ライドンのVocalもかなり相性が良いです。
Side1-1 Albatross
Side2-1 Swan Lake
Side4-3 Chant
このあたりの曲が特にガツンときます。
PILの中では『Second Edition.』がダントツで好きです。
ソロになってからのジャー・ウォブルもBassの音圧が高くて大好きです。
◎僕的『スキ度』: ★★★☆
(最高は★★★★★の5つ)
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さて、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。