The Kick Inside マニアック
■Kate Bushに興味を持つまで
兄の影響で小学生の頃から洋楽ロックを聴いていた僕は、『ロック=バンド=男』みたいな単細胞で勝手なイメージを持っていました。
そのせいで70年代後半まで女性アーティストを聴くことは殆どありませんでした。
そんな余裕が無かったのですが…。
今では男女に拘らず好きなアーティストを聴いていますが、初めて真剣に聴いた女性アーティストはKate Bushでした。
彼女に興味を持ったキッカケは、やはり
「ピンクフロイドのデイヴ・ギルモアに見いだされた」というキャッチコピー。
しかしデビュー当時のアイドルまがいの打ち出しにはかなり違和感を感じ、まともに聴くことなく距離を置いていました。
▶︎1stアルバム「The Kick Inside」(1978年)の邦題「天使と小悪魔」
▶︎日本盤独自のジャケット写真
▶︎東京音楽祭出場のため来日とCM起用
そのため、完全にハマったのは同年1978年にリリースされた2ndアルバム「Lionheart」を手にしてからです。
偶然Piiotのメンバー(セッションミュージシャン)Ian Bairnsonや David Patonがサポートしていることを知り、俄然興味が沸いて中古盤を買いました。
そして「Wow」「Don't Push Your Foot on the Heartbrake」「Hammer Horror」の歌唱力に圧倒され、強い個性と才能を感じ、それまで彼女を誤解していたことに気付いたわけです。
その後は1stアルバム「The Kick Inside」を購入して完全に魅了され、3rd「Never Forever」以降はリリースと同時に購入するファンになりました。
■「The Kick Inside」マニアになる
さて、彼女の魅力って何なんでしょう?
▶曲が良い
当たり前に感じるかもしれませんが非常に重要な要素です。
凡庸でつまらない曲に魅力や才能は感じません。全てのアルバムがパーフェクトだとは言いませんが、多くの曲のクオリティが高い点は大きな魅力です。
▶声域が広く歌が上手い
声域が広いだけではなく、高音域から低音域へ、もしくは、低温域から高音域へ一気に昇降する歌唱力は素晴らしい。特に突然低音へ振られたときの声の変化にはゾクゾクします。
もちろん音程もしっかりしているので安心して聴けます。
▶美人である
これは好みの問題かもしれませんが...。
ただ、パントマイムを習っていたせいかヴィデオを見ると目や口の動きによる顔の表現力が半端ではなく、平気で変顔もできる点も大きな魅力です。
▶体の動きが独特
ステージパフォーマンスやPVで見られる彼女の踊り、身のこなしはかなり独特で個性的です。良い意味でグロテスクな域にも達しています。これもバレエ、パントマイムの影響でしょうが「嵐が丘(Wuthering Heights)」「Hammer Horror」のPVを見るとよく分かります。
この様に魅力溢れるKate Bushですが、
彼女の作品の中で僕が最も好きなのが
「The Kick Inside」なんです。
まず、全曲クオリティが高いです。
声にまだあどけなさがありますが、アルバムを通してパーフェクトに近い出来だと思います。バックバンドのタイトな演奏やアレンジも曲を引き締めてます。特にStuart Elliottのドラムがイイ。70年代のドラムの音って本当にいいですよね。
「Moving」「Wuthering Heights」などシングル曲も彼女の世界感炸裂の名曲ですが、僕のイチ推しは、コーラス部分の表現力が突出している「Oh To Be In Love」です。
そして、曲以外の魅力は、国によって異なるジャケットデザインが存在することです。
まだ無名アーティストのプロモーションの賜物ですかね。どのデザインも個性的で、ファンには涙モノです。
因みに裏面のデザインは全て同じ。これは手抜きなのか?
▫️僕のレコードコレクション。
さて、レコード棚から出してきた
「The Kick Inside」コレクションです。
「同じレコードなんだから勿体ない」と思いつつも、何かと理由をつけて集めてきました。その数13枚。
それぞれ若干の違いがあるので紹介させてもらいます。
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1. UK盤 Matrix 2/1 EMC 3223
マトリクス番号はA面が2でB面が1なので、比較的初期の盤です。
タイトルの字体、凧や番傘みたいなデザインは、チョット怪しいアジアン・テイスト。
個人的には他国の異なるジャケットの方が良いかな?
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2. UK盤 Matrix 4/2 EMC 3223
ジャケットは同じですが、マトリクス番号はA面が4でB面が2。レーベルのデザインも違います。
80年代のレコードかな。
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3. UK盤 1997年 EMI 100周年記念盤
LPCENT 5
90年代半ばぐらいから第二次アナログブームが起こり、レコードが再発されるようになります。
このレコードもそうですが、盤は重量盤でジャケットも分厚くガッチリした作りになりました。
そして、価格も上がったアナログレコードは、残念なことに庶民の娯楽品から特別な嗜好品になっています。
と言うわけで、再販盤のこのレコードも内容はこれまでと同じです。
ですが、何となく買ってしまいました。
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4. UK盤 2018年リマスター盤
流通形態はレコードからCD.へ、そして最近は配信、サブスクが主流になっています。
その中でレコード人気は着実に高まり、新作も旧作もコンスタントにリリースされるようになりました。
2018年にKate Bush全作品のリマスター盤がCDと共にリリースされました。でもLPを購入したのはこのアルバムだけです。
レーベルのデザインが重厚な感じで好きです。180g重量盤。
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5.ドイツ盤 1C 064-06 603
「ヒットシングル『嵐が丘』収録」という宣伝コピーが印刷されてます。もしかしたら初版のレコードではないのかな?
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6. オランダ盤 グレー・ワックス
5C 062-06603
ジャケットデザインは表も裏もUK盤と同じですが、何故か地味なグレー色のカラーレコードです。この色は珍しいですね。シルバーのつもり?
おそらく何かの記念でリリースされた再発盤ではないでしょうか。
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7. ユーゴスラビア盤. LSEMI-70870
今では存在しない国家、ユーゴスラビア盤。とてもレアなレコードです。
とにかくこの写真が最高です。ファンでなくても欲しくなるのでは。
レアと言えば、僕は持ってませんが、写真違いのイスラエル盤もなかなか手に入らないレア盤です。
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8. Canada盤 Harvestレーベル
SW-11761
元々、北米(カナダ、アメリカ)はカナダのHarvestレーベルからリリースされていたようで、この写真のジャケットでした。
一見するとKate Bushとは別人に見えますが、大人っぽくて凄くいい感じです。
Harvestレーベルは、どうもプログレを想起してしまいます。
レーベルのリム部分には次のクレジットがあります。
“Harvest” IS A TRADE MARK OF EMI RECORDS LIMITED -- MANUFACTURED IN CANADA BY CAPITOL RECORDS-EMI OF CANADA LIMITD
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9〜11. アメリカ盤 EMI AMERICA レーベル SW-17003
HarvestレーベルからEMI AMERICAレーベルに移行し、このジャケット、レコード番号になりました。
いつから変わったかハッキリ知りませんが、一般的なアメリカ盤です。
僕が初めて買った『The Kick Inside』は、このアメリカ盤の中古レコードでした。
レーベルの写真。周囲にはこの説明も。MFD. BY EMI AMERICA RECORDS INC., A SUBSIDARY OF CAPITOL INDUSTRIES-EMI, U.S.A. * ALL RIGHTS RESERVED. * UNAUTHORISEZED DUPLICATION IS A VIOLATION OF APPLICATBLE LAWS.
さて、ジャケット写真ですが、当時は少しオバさんぽい写真だなと思いました。
同じフォトセッションで撮られたこのカットの方が良かったな。
そして、このアメリカ盤は3枚持ってます。
内容は全て同じですが、その内1枚は未開封のSealed状態。
時代的には他の2枚より新しいと思います。
ただ、ジャケット左下部分にもPREVIOUSLY RELEASED ON
HARVEST RECORDS SW-11761
が印刷されてる点が異なります。
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12. 日本盤 帯付き EMS-81042
オリジナル盤 ¥2,500
邦題『天使と小悪魔』。帯とライナーノーツ付き。日本盤の特徴ですね。
しかもジャケット写真も異なるわけですから海外マニアにも人気があるはず(多分)。
しかしこの写真は反則級ですね。
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13. 日本盤 帯なし EMS- 63026
再発廉価盤 ¥2,000
こちらは後に再販されたレコード。レコード番号も変更されてます。
ビニールでパッキングされていて、帯は一般的な縦型タイプではなく、横型の上部に引っ掛けるタイプ(中古購入のため付いてなかったです)。
ライナーノーツを読むと「The Dreaming」のことが書いてあるので80年代半ば頃のリリースですかね。
このクリーム色のレーベルはイギリス盤でもある時期から使われてます。
▫️最後に
このアルバムに限らず何枚も買い集めるアルバムがあります。
少しの違いでも知りたいという好奇心に駆り立てられるからです。
もちろん僕にとっての『超名盤』だけです。
そんな特別なアルバムは、レコード屋さんで見かけると声が聞こえて来るんですよね。
The Kick Insideの場合、収録曲は変わらないのでジャケットの違いが収集のモチベーションになってます。
国によって何か違いはあるかな?という好奇心、探究心もあります。
だから、もし資金と時間と保管場所に余裕があるのなら、世界中のレコードを集めて聴いてみたいです。
そんなわけで、これからもこのテーマで投稿すると思いますのでよろしくお願いします。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!