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これの役割を知ってると自分の当たり前を打ち砕きやすくなる「批判的思考」+17

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+11,+12,+13,+14,+15,+16

前回は、原因帰属の究極的帰属錯誤の危険性について説明しました。今回は、ステレオタイプ思考を作り出す(ざっくりな)固定概念、別名「スキーマ」について説明していきます。

この人はどんな人だろう?

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たとえばこの画像の人のように、背が高く、メガネを掛けていて、白衣を着た男性がいたとします。あなたはこの男性を街なかで見かけました。

この人の職業は?と聞かれたら、なんて答えるでしょうか。ほとんどの人は「医者」と答えるでしょう。「スキーマ」とは、この男性を医者と答える過程に行われた情報の選別で、参考にした知識の集合体です。

スキーマとは要するに、「複雑で一般的な概念の知識構造」と考えるとわかりやすいです。換言すると、固定概念によってチャンク化された情報とも言えます。

たとえば別の例で、「サッカーボールがある」「ユニフォームを着てる人がいる」「審判がいる」「ゴールがある」「22人いる」などを合わせると、[サッカー]をやっているとわかりますよね。

これを「何やってんだあの人達、抗議団体か?」とは思わないわけです。このように、支離滅裂な複数の情報を体系的にまとめてくれるのがスキーマの役割です。

お医者さんの例で考えてみても、彼を医者だと判別するには膨大な情報量から特定の要素を導き出していますよね。すべては捌ききれない情報の海から、必要な情報だけをスキーマを通して抜き出しているのです。

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スキーマの4つのはたらき

スキーマは便利なツールで、情報を単純化し、体系化してくれます。しかし使い方を間違えるとおかしな原因帰属を引き起こしますから、スキーマの特性はしっかり理解しておきましょう。

1つ目が、「一致情報への選択的注意」です。これは要するに、あなたが「彼は医者だ!」と思い始めると、そのスキーマにあった情報を集中的に探してしまう行為です。逆に言えば、スキーマと不一致した情報は見逃される危険があります。たとえば、医者だと思っている彼の靴がサンダルなのよりも持っているカルテに注目してしまうでしょう。

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2つ目は、「不一致情報の歪曲」です。彼は医者なんだ、というスキーマに合わない情報をあなたが目にしても、都合の良い解釈をしてしまう傾向です。たとえば医者だと思っている彼が、病院に無関係な大学施設に入っていく姿を見たとしましょう。このとき「彼は教授なのかも?」とは考えづらいのです。

「たまたま用があったんだな」と考える傾向にあります。

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3つ目は、「一致情報の記憶の促進」です。1つ目に書いたようにスキーマに一致する情報は選ばれやすいので、不一致している情報よりも記憶に残りやすいのです。たとえば、医者の彼がリュックサックを背負って漫画喫茶に入るシーンを見かけるよりも、病院に入っていくシーンをより鮮明に覚えているのです。

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4つ目が、「一致するような記憶の歪み」です。たとえば、医者の彼がポイ捨てしてる姿を見たとしましょう。あなたは医者について、「まじめで誠実な人」というスキーマも持っているとします。すると明らかにポイ捨てにもかかわらず、「知らずに落としただけだよね」と納得してしまうのです。

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自分でも気づいていないスキーマを探す

いったんスキーマが形成されると、自分でも気づかないうちにその固定概念にハマってしまう危険があります。大きな例で言えば、自分の価値観や世界観もスキーマと言えますから、スキーマをより強くするような経験を求めるでしょうし、その経験を自分のスキーマを通して考えるようになるのです。

価値観のようなスキーマが強まるのは自分の核が定まりますから、良い側面もあります。しかし海外の人種差別を見ればわかるように、偏見の強いスキーマは争い生む力も持っています。

そしてそのスキーマが強く構成されると、そのスキーマの矯正はむずかしくなっていくのです。

たとえば、前回話したように「男性は悪!」という強いスキーマを持っている女性は、男性が犯罪を犯せば男性特有の性質を攻めますが、女性が犯罪を犯しても女性特有の性質は責めないでしょう。もし仮に、「男性よりも女性の方が犯罪率が高い」という統計が出たとしても、その女性はその情報を無視してしまうのです。(不一致情報の歪曲)

このような例は数え切れないほどありますよね。だからこそ、間違ったスキーマ通していないかチェックする必要がありますし、スキーマについて理解しておくことが大事なのです。

まとめ

良いスキーマを構築できると人生は選びやすくなり、そのスキーマを通して未来も良くなっていきますよね。もちろん逆もしかりなんで、上手にスキーマを作っていく姿勢で、柔軟なスキーマを構築できると良いですなぁ。

【考えてみよう】
「男なのにピンクが好きなの?」とあまり好きではない人に煽られたとする。その人はどのようなスキーマを持っているだろうか?4つのはたらきの中で当てはまるものを探しつつ、言語化してみよう

動画解説を今すぐ観る↓↓↓

クリティカルシンキング「スキーマの4つの役割」+17の解説


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高安智也
読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。