海が見たい
仕事が終わり、家で寝転びながらスマホをみる。
面白いような面白くないような動画をスクロールしながら、自分が少し疲れていることに気づく。
そんなに疲れてないと思うんだけどなぁ。
無意味に携帯をみている時間が一番疲れるとわかっていながら、疲れているときほどそれをしてしまうことを最近知った。
SNSには、それっぽい文言や誰がつくったのかわからない常識のようなものがしらっと潜んでいて、こんなのばっかみてたら自分を見失うわと思う。
そうこう思いつつ時間を垂れ流してたら、不意の贈り物が届いて我に返った。
どうにもこうにも言葉にならず、ただ外に出たくなった。海が見たい。
・
自宅を出ると商店街でぼんぼり祭りをやっていた。
子どもたちが描いた絵に灯りが灯され、小さな商店街が明るく彩られている。
地元のお店が各々小さな出店を出していて、いつもの景色にいくつもの新しい景色が重なってるみたい。
一歩外に出たら全く違う景色が見えることを、また忘れるところだった。
・
自転車を押しながら商店街を後にして、海へ向かうとちょうど夕暮れ時。
いつも見ている夕焼けのはずなのに、ピンク色に染まった空はなんだか懐かしい。
海の家が出ている時期なことに加えて、今夜は盆踊りが開催されているようですごく賑やかだ。
賑やかなのに、ひとりで見る海はとても静かで、わたしはこういう時間がやっぱり好きだなぁと思った。
誰かといてもいなくても、ちゃんとここにわたしがいる。
盆踊りの音を聴きながら、そんなことを思った夜だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?