トイレポンプ

(※この文章は、「小説家になろう」に2024/05/12 18:01に投稿したものの転載である)


 10年だったか20年前、テレビを観ていたら、「義母と同居することになったのに、義母の部屋のトイレ工事終わっていない」と慌てる→「2階の部屋でも1日で工事が終わります」→クローゼットに便器を設置して「あっという間にできたね」と喜ぶ若夫婦の後ろに元気な義母(予定より早く到着)、というCMがあった(「劇的!ビフォーアフター」の枠で流れていたらしい)。


 「すごい元気そうな義母(義父はどこ行った?)と同居するんだ」「なぜに義母専用トイレを増設?」などツッコミどころは多々あるも、「今はこんなことが出来るんだ!」と大層感動した覚えがある。


 トイレの配管は上水道と下水道の両方が必要で、特に下水は排泄物やら何やらを流す必要上、75Aまたは100Aという規格のパイプを使うのが通常だそうだ。75Aで外径8センチちょっとらしい。住宅を改修や増築するときに、「水回りの増設はすごい面倒くさい」「特に下水は太い管を自然に流れるように配管する必要があるので、大事な柱を切らないように迂回させたり、基礎のコンクリに連続した穴を開けたりするので、新築より手間がかかる」「水勾配に気を使う」という話を事情通の方から聞いていた。


 それを、親指くらいの太さのパイプ2本を通すだけで良い(それも床面より高いところに通せる)」となれば、それこそ「天井裏に通す」こともできるので、工事の自由度は格段に大きくなるし、(床下にもぐったり穴を開けたりとかの)準備工事はグッと減らせる。


 これを可能にしているのが「排水圧送粉砕ポンプ」という製品で、便器の排水(内容物)を吸い込んで細かく粉砕し、圧をかけて排水パイプ(20Aとか25A)に送り込むものである(別途、100V電源は必要)。これがフランス製で、「あの!おまるの中身を路上にぶちまけていたフランス製!」という歪んだ感動ポイントもあるのだが、こんな便利なものが世間にあまり知られていない?(それとも私以外、皆さん知っているの?)というのにビックリした。


 元々は企業の設備改修向けの製品で、日本の代理店が住宅改修用に応用したそうだ。


 ポンプ詰まりとその対策の説明がまた興味深かった。普通の排泄物やトイレットペーパーでは問題ないのだが、水に溶けない紙では詰まる。ティッシュペーパーは注意書きにある、生理用品なんかもある。しかし便座除菌シートや流せるトイレ清掃シートが溶け切らずに詰まる(粉砕ポンプで粉砕しきれない)事を突き止め、注意書きに表示するとともに、ポンプをメーカーに持ち帰らずに現場で修理(詰まりを除去)できるように点検孔をつけた製品(日本仕様)に改修して販売、今では本社出荷時から標準仕様になっている、というエピソードなんかも「がっちりマンデーでやれよ!」と思ったもの。



 仮設住宅とか新型コロナの仮設医療機関なんかにも使われているんだね。でも日本法人は上場していないので株は買えない、と(非上場で、ガッカリ!)。

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