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真っ直ぐな気持ちで私を好きになってくれた人と初デート。
待ち合わせ場所の公園に行くと彼の姿が見えた。
小走りで彼のほうへ向かうと笑顔で手を振っていた。
「あー、そうそう。こんな顔だったー」
と思いながら彼の前に立ち止まった。
「ごめんね。待った?」
という私に、
「ううん。自分もいま着いたばかりだよ」
と彼。
2人の間に数秒沈黙が流れたあと、
「祭りの様子見に行こうか」
と人で賑わっている方向に向かって歩き出した。
その日は公園でちょうど祭りが開催されていたこともあって、待ち合わせ場所をそこに決めたのだ。
とりあえず、ずらずら並ぶ屋台の側を2人でゆっくり歩きながら見て回った。
2人で話しながらしばらく歩いていると彼の手が私の手にぶつかってきて、いつの間にか手を繋いでいた。
とても自然な流れだった。
***
学生時代に付き合った人は2人いたが、付き合ったと呼べる関係でもなくて。まず外に一緒に出かけたことなんてなかったし。。。
私は私で、付き合っているときは、大好きな彼によくラブレターを書いて渡していた。そのときそのときの素直な気持ちを綴ったラブレター。
こんなに年月が経っているので、実際どんなことを書いていたのか、何であんなに頻繁に書けたのかは記憶にない。
ただ憶えているのは、私は真っ直ぐな気持ちでその彼のことが大好きだったこと。
彼とは、たまに電話で話したり、誕生日やクリスマスなどの行事ごとに会ってプレゼントを交換したりするくらいの関係だった。
電話でおしゃべりができたとき、彼と会っていたときは、毎回ドキドキしてうれしかった。
話したり会ったりする回数が少なかったこともあって、ラブレターを書くことが日常化した。
きっと日常的に話していたら出てくるであろう内容。
今日こんなことがあって、とか、「部活頑張ってね」とか、最後にはいつも、彼に対する私の気持ちを綴っていたと思う。
いま書きながら、そうだったかも、とふと思った。
何十枚、何百枚と書いたラブレターに対しての返事は一度も来たことがない。
そして最終的には振られた。
学生時代の私は、好きな人(付き合っていた相手も含めて)に毎回振られていた。
私の気持ちはいつも一方通行だった。
付き合っている間、相手の気持ちがわからなかった。
私のことを好きでいてくれたから付き合っているはずなのに、付き合っていたときには、一度も気持ちを伝えられたことがないので、不安な気持ちにもなった。
人を好きになることは喜びでもあったが、同時に辛くもあった。
私は、学生時代、好きな人から真っ直ぐな気持ちで思われた経験はない。
***
そんな恋愛経験がないに等しかった当時の私にとって、アメリカ人の彼との出逢いは新鮮だった。
繋いだ手から彼の温もりを感じ、彼が私を見つめる視線の優しさで、私への気持ちが伝わってきた。
今までにない感覚。
冷たかった私の心の中に優しい火が灯された。
(続く)
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