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つらい現実の中のともし火。映画『桃姐~桃さんのしあわせ』中国・香港、2012年


アン・ホイ(許鞍華)監督の映画。
初めて見ました。ずっと期待していただけあって、とてもよかった。じんわり、やさしい映画でした。

かつて裕福だった香港。今なら、フィリピンとかマレーシアからの女性たちになるでしょうけど、昔は中国大陸生まれ、香港育ちの家政婦さんもいました。中流以上なら、家政婦さんは2人くらいいてもおかしくないのが香港だとか。

13才から4代にわたって長年住み込みで、家事をこなした彼女・桃さんが脳卒中で倒れたとき、家主の息子ロジャーが彼女に寄り添ってくれるなんて、多分現実では奇跡に近い物語。でも、実話がもとになっているから救われる。香港の厳しい福祉事情もうかがえて、やりきれないシーンも多々ある。

倒れた後からの桃さんとロジャーの何気ない日常を、とても丁寧に映しとってくれる、映画っていいものだなあと心から思える、そんな感動。もちろん、現実にアンディ・ラウはいないのですけど。かつての香港が映画の中にあって、一方では21世紀の香港は、中国に半ば無理やり同化させられていく現実があって辛い。

ロジャーの仕事ももう香港にはほとんどなくて、出張先はいつも中国。そこからいつも入院している桃さんを心配する様子は、胸にせまるものがあります。

邦題:桃さんのしあわせ
原題:桃姐(A Simple Life)
監督 アン・ホイ(許鞍華)
出演者 アンディ・ラウ(劉德華)、ディニー・イップ(葉德嫻)ほか
製作国:中国・香港(2012年) 119分

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