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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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#台湾

モダン都市東京と台湾の近現代を撮った写真家の物語。『南光』朱和之(中村加代子訳)

この小説は、台湾が日本の植民地だった時代から始まります。主人公は、裕福な客家の家に生まれ…

夕遊
4か月前
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映画『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映に行ってきました。

7月下旬から約1ヶ月、ひたすら仕事先と自宅にこもって忙しかったので、お盆頃にはとうとう限…

夕遊
6か月前
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今年必読の1冊。『台湾のデモクラシー メディア、選挙、アメリカ』渡辺将人

今年は台湾の選挙イヤー。そのおかげか、昨年、一昨年と台湾関連の良書がたくさん出版されて、…

夕遊
7か月前
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スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ス…

夕遊
8か月前
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ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけ…

夕遊
1年前
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「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸

タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。…

夕遊
1年前
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”無常”という冥界の使者『中国の死神』大谷亨

評判がよい本はぜひとも読みたいです。この本を読むまで、中国には無常(むじょう)という地獄の使者(寿命が尽きようとする者の魂を捉えにくる)がいることを知りませんでした。序論からいきなりワクワクです。 そもそも無常は仏教の概念で、日本人的には「祇園精舎の鐘の声……」をすぐ連想してしまいますが、本来の意味は「Everything changes(この世の一切は生々流転する)」→「人はいずれ死ぬ」ということで、「無常≒死≒死の象徴の勾魂使者」と呼ばれるようになったのだとか。 本当

台湾グルメと鉄道の旅と百合。『台湾漫遊鉄道のふたり』楊双子(三浦裕子訳)

予告されたときから、すごく楽しみにしていた本。『台湾漫遊鉄道のふたり』というタイトルもそ…

夕遊
1年前
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南からみた衝突と融合の三〇〇年『越境の中国史』菊池秀明

日本に来る中国人観光客が増えても、日本人には中国と台湾、香港の区別が難しいです。ましてや…

夕遊
1年前
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上質な仙侠ミステリーでファンタジーで人間ドラマで群像劇。『天官賜福』墨香銅臭、1…

少し前から、中国で取締をめぐる経緯なんかを多少チェックしていて知った本ですが、実際に読む…

夕遊
1年前
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書かれた女学生と書く女学生の百年。『少女中国』濱田麻矢

アニメにも実写にもなった『ムーラン』(木蘭)。彼女は中華圏では戦う少女のアイコンだけれど…

夕遊
2年前
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日本生まれの台湾人で、北京放送のアナウンサー。『陳真』野田正彰

私が初めて、NHK中国語講座をみたときに、穏やかな笑顔で発音を担当されていた陳真さん。て…

夕遊
2年前
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難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々『境界の民』安田峰俊

一気に読める、読ませる本です。著者の安田さんは、大昔のblogの時代から文章がうまかったです…

夕遊
2年前
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歴史は政治で”現代史”。『中国の「よい戦争」』ラナ・ミッター

サブタイトルは、「甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム」。中国にとって、第二次世界大戦がどんな意味を持ってきたのか、今の中国政府にとってどこが不都合なのか。冷戦時期には無視され、最近、なぜ語られるようになってきたのか。この本は、中国政府が宣伝したい「よい戦争」の物語がときあかされる本です。 中国にとって長い間、第二次世界大戦(含む、日中戦争。中国では「抗日戦争」)は中国共産党が主導して、「人民」が戦った結果の勝利だとされてきました。でも、実際の戦争時期の中国共産党はまだ