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機械と人間の狭間で ―サイボーグ、AI、アンドロイド―

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『攻殻機動隊』を中心に、欧米、日本のSF小説、漫画を題材にして、機械の人間の狭間を考えます。全8回。(完結) ※文中のAmazonへのリンクはアフィリエイトではありません。
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#アニメ

3.アンドロイドはピノキオの夢を見るか(1)「AI」「ヒューマノイド」とロボット三原則

3-1-1.フチコマ・タチコマ『攻殻機動隊』の世界では、完全義体、電脳が技術として確立されており、AIも発達している。 AIはあらゆる場面で活躍していると考えられるが、多くは各種のロボットの制御を行っているものと考えられる。 士郎の原作には、AI搭載の多脚戦車「フチコマ」(日本神話の「天の斑駒(アメノフチコマ)」から命名)が登場して、活躍している。押井守の劇場版2作ではオミットされたものの、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズでは、「タチコマ」として登場し、人気を呼んだ。

2.機械の中の幽霊(1)

2-1.日本SFにおけるサイボーグ~『009』から『攻殻機動隊』へ~2-1-1.日本サイボーグSFの黎明 少し時間をさかのぼって、日本におけるサイボーグの受容を眺めてみよう。 クラインとクラインズの「サイボーグと宇宙」が刊行された翌年である1962年には、日下実男『地球物語 : 地球の生成から消滅まで』(早川書房)において、早くも「宇宙人間サイボーグ」と題して、その内容が簡単に紹介されている。 その年には光瀬龍が《宇宙年代記》シリーズを書き綴り始め、「スーラ2291」(1