コスプレの不気味の谷
オタクとしては大変恥ずかしい限りだが、実はあまりコスプレ萌えみたいなのが分かっていない。
学生服だとかメイド服だとかナース服だとか。
あと普通にアニメキャラのコスプレとかも。
逆に軍服とかスーツとかはいいなぁと思うけど、それは「服がカッコいい」というだけでそこに性差はない。今話したいのは性的かどうかの話。
こういうって多分普段思ってても絶対出来なかったり、今はもうどうにも出来なかったり、存在しないかったり、手に入らないものへの欲求を代替品で満たすみたいな効果があるんだと思うのは分かる。
分かるが、でもそれは同時に代替品という虚構を認めなくてはならず、コントに付き合わされてる気分になって恥ずかしくなってしまって苦手だ。
そこに人間がいる以上、衣装への関心よりも衣服とは別にそこにいる人間がより強調されてしまって、そっちに関心が行ってしまうというか。
だって本当は着てる人間は学生じゃないし、メイドでもないし、看護師でもないし、当然アニメのキャラでもない訳じゃないか。
そうするとその人と衣服は独立したそれぞれに見えてきて、その人間が見えてきてしまう。
「この人は本当は今何を考えているんだろう……」
と秋葉原の路上のメイドさんの目の奥の感情が見えてしまいそうで怖くて、いつも俯いて早足になる。
いや逆に多分コスプレとかしてる人って理由としては、服が可愛いとか、変身願望とか、単に誰かに見られたいとか、そういう理由だと思うけれど。
しかし、それを人間がやる以上人間という三次元の動く生き物は情報量が多過ぎてノイズになる。
二次元の不気味の谷現象だ。
こちらから二次元に近付くと、逆にその差異に目がついて違和感を覚える的な。
だから僕はコミケで売り子をしているコスプレイヤーを直視出来ない。
それは確かにキャラクターの格好をしているが本質はその皮を被ったただの人で、キャラクターがしないような声と言葉と表情だけがそこにはあるから。
まだ僕はこんな幼稚な嘘を飲み込めていない。
でも唯一、喫煙所で煙草を吸うコスプレイヤーはいいと思った。
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