何ができれば「エクセルを使える」と言えるのか|エクセル入門
最も基礎的なビジネススキルとして、マイクロソフトオフィスのスキルが問われることがあります。
そのため、「エクセルのスキルを上げたい」「パワーポイントを使えるようになりたい」というビジネスパーソンは珍しくありません。
しかし、エクセルというのがどういうアプリケーションであり、どのような状態になればエクセルスキルが高いといえるのかについて、正しく理解できているビジネスパーソンは少ないように思えます。
このページでは、そもそもエクセルとはどのようなアプリケーションであり、どのような状態になればエクセルを使いこなせているといえるのかを説明します。
-------------------------------------------------------------------------------
サマリ
1. XHacksのコンセプト
2. なぜエクセルが使われるのか
3. エクセルの初心者を脱却するためには?
4. エクセルの上級者となるためには?
---------------
最も基本的なビジネススキルの1つとして挙げられるのがMicrosoft Officeです。
その中でも、Microsoft Excelは使用されることが多く、簡易的なデータベース構築から高度な金融のシミュレータまでさまざまな場面で利用されています。
このため、向上心あるあらゆるビジネスパーソンと、一流のビジネスパーソンを目指す学生にとって、エクセルを使用できるようにすることは必須ともいえるのです。
1. XHacksのコンセプト
世の中にあふれるエクセルの参考書や資格試験などは、機能が羅列されているだけであり、とても学習意欲を掻き立てるようなものではありません。
しかしながら、学習意欲というのは非常に大切であり、学術的に高度な内容などを除けば、スキルを習得できるかはほぼ学習意欲に依存します。
理解できないということはほぼありえず、基本的には勉強をすればできるようになるというものなのです。
できない理由があるとすれば勉強不足であることだけでしょう。
もう少し有用なのが、逆引き辞典やWebサイトの類です。
これらは必要なときに必要な情報を提供してくれるため、ある意味では作業をしながら覚えることが前提となっています。
網羅的に機能が羅列されているものと比べると、学習意欲にはプラスの効果があるでしょう。
しかし、逆引き辞典は、使おうと思ったものしか使えるようになりませんし、そもそも能動的な学習には向きません。
余裕のあるうちにスキルアップしようと考えているビジネスパーソンはもちろんのこと、これから仕事をするという学生などにとっては、このような「仕事をしてみないとスキルアップできない」というものは役に立たないでしょう。
◆「使いたい機能+アルファ」という考え方
では、どのような方法であればこれらよりは効率的にスキルアップができるのでしょうか。
私は、効果的なスキルアップの方法の1つとして、「使う機能+アルファ」という学び方があるのではないかと考えています。
まず、いま使いたい機能を出発点にする、これによって必要性に裏付けられた学習意欲が生じます。
仕事で必要になった機能でも構いませんし、なんとなく使えるようにしてみたい機能でも結構です。
ただ、土台にあるのは「いま使いたい」という欲求です。
そして、「+アルファ」の部分が大切です。
使いたい機能を使えるようになったのに加えて、関連する機能を覚えていくのです。
特に、「何とか使えるようになった」「とりあえず動いた」という目標を達成した直後に、「華麗に動かす方法」「高度な分析にも耐えられる方法」を同時に覚えます。
こうすることで、使いたいと思った機能ではないものの、その場で使える機能ではあるため、より高度なスキルに触れる機会が生まれます。
このように、使いたい機能を出発点として、まずは使えることを目標にするが、追加的に「高度に使える」というスキルを学ぶことで、学習意欲を担保しつつ効率的にスキルアップができるのではないかと考えています。
もちろん、スキルアップ方法は人それぞれで最適解が違うとは思いますが、ある程度「ベターな」方法ではあると思います。
XHacksでは、このような「使いたい機能+アルファ」というコンセプトで、エクセルを中心としたビジネススキルを紹介していきたいと思います。
2. なぜエクセルが使われるのか?
エクセルが利用される理由についても簡単に触れておきましょう。
さまざまな意見はあると思いますが、私がセミナーを開くときなどに説明しているのは次の2つです。
1. 競合ソフトと比べて習得が簡単であること
2. 互換性が高いこと
◆競合ソフトと比べて習得が簡単であること
エクセルというのは、データベースとしての機能と、シミュレータとしての機能とをあわせ持っています。
表計算ソフトと呼ばれますが、単なる計算機ではないわけです。
したがって、競合ソフトは電卓やワープロではなく、pythonやMySQLといったプログラミング言語になるのです。
高度なシミュレーションを行うのであれば、エクセルではなくCやPythonといったプログラミング言語で行うことになるでしょう。
大規模なデータベースを使った分析を行いたいのであれば、当然MySQLの利用が候補として挙がってくるはずです。
一般には習得が難しいと考えられがちなエクセルですが、これらのプログラミング言語と比べると容易に習得ができる点が特徴です。
また、この比較においては「エクセルは高度なシミュレーションや大規模なデータベースの処理には適さない」ということが示唆されています。
しかしながら、一般的なビジネスパーソンが行うシミュレーションやデータベース分析は、エクセルでも十分に処理できるものがほとんどです。
エクセルでは手に負えないものは、思い切って社内のエンジニアに任せてしまうとよいでしょう。
◆互換性が高いこと
マイクロソフトオフィスは、最も普及しているパソコンソフトの1つです。
このため、会社のパソコンにも自宅のパソコンにもインストールされている可能性が高く、かつ、クライアントやビジネスパートナーもまたエクセルを使える環境にある可能性が高いです。
エクセルでデータを処理しておけば、クライアントに送付したり自宅で作業をしたりしても互換性が保たれる可能性が高いのです。
もし、エクセルよりも高機能で操作が簡単なソフトがあったとしても、特殊で高価であったりすると、そのままでは他者や他環境と共有することができなくなってしまいます。
このように、互換性が高いこともまたエクセルを使う大きな理由の1つです。
そして、ここにも重要な示唆があります。
同僚や顧客と共有しやすいからエクセルを使うということは、エクセルを使うときは他者と共有することが前提となっているともいえるのです。
したがって、エクセルで作業をするときは、自分が見やすければよいという発想ではなく、他者にとっても見やすいものを作ろうという発想のもとでシートを作成する必要あります。
3. エクセルの初心者を脱却するためには?
XHacksは、エクセルを使ったことはあるが、特に得意というわけではないというビジネスパーソンをターゲットとしています。
もしくは、これから得意にしていきたいと考える向上心あるビジネスパーソンをターゲットとしているとも言えます。
また、そういった向上心あるビジネスパーソンとなることを志す学生にとっても読みやすいページとなることを目指しています。
私自身も外資系の金融機関に勤めていましたが、外資系企業などでは学生といえど即戦力を求めることが少なくないので、一般的なビジネスパーソンよりはスキルが豊富であったほうがよいでしょう。
まず、初心者を脱却するための方法は簡単です。
おおよそ初心者は「2. なぜエクセルが使われるのか?」の内容がきちんと理解できていません。
これをきちんと理解するだけでも、十分に脱初心者といえるでしょう。
特に、エクセル作業では、あくまで他人と共有する可能性を前提としてシートを作成するという点を意識できるだけでも、十分に脱初心者だといえます。
私は多くのビジネスパーソンや大学生にエクセルを教えてきましたが、多くのが初心者は「見やすさ」や「シートの拡張性」を軽んじており、他人が見たり編集したりすることを念頭においていません。
逆に、他人が見たり編集したりすることを明確に想定できる人は、おのずときれいなシートを作成するようになり、複雑でわかりにくい数式を使ったりはしなくなります。
結果として初心者かどうかを判断するための基準としては、その人が作成したシートが、見やすいシート・見やすい数式になっているかどうかになります。
4. エクセルの上級者となるためには?
では、エクセルの上級者であるとはどういうことでしょうか。
転職や就職の履歴書のPCスキル欄でも、「Excel: Basic, Intermediate, Advanced」のように選択する欄が用意されていることがあります。
もちろん明確な定義はありませんが、おおざっぱには以下のようなことを実行できる人であるといえます。
◆シミュレータとしてエクセルを使う場合
上級者とは:速く正確にシミュレータを構築できる人
色や余白、数式などの見やすさは、基本的に正確さを担保するための手段です。
複雑で見づらいシートほどミスを誘発しますから、上級者であるためにはミスを限りなく防止したシートを作らねばなりません。
また、シミュレータとしてエクセルを使う人の代表例には、投資銀行のバンカーやアナリストがおりますが、彼らは必ずと言っていいほど「ショートカットキーをマスターしろ」と言います。
これは、シミュレータ作成者としてのゴールが速く正確に操作することだからだといえます。
マウスを併用して操作する場合と、完全にショートカットのみで操作する場合とでは、事実として5倍ほど作業スピードが違います。
このため、シミュレータ作成者として上級者を名乗るためには、やはりショートカットキーのマスターは欠かせません。
VBAについて:あくまで速く正確な操作が目的なので、VBAを使う場合は単純作業を登録するという用途が中心になります。ショートカットキーだけでも十分高速であるため、よく使う書式の設定など最低限度のVBAが記述できれば十分ということになります。
◆データベースとしてエクセルを使う場合
上級者とは:軽快で拡張性のあるシートを構築できる人
エクセルはMySQLなどと比べるとパワーが不足しがちなアプリケーションなので、むやみに数式を追加していくと挙動が重くなります。
シミュレータと比べてデータが膨大になりがちなデータベースの場合は、特に軽快なシートを作成することを意識しなければなりません。
また、データが追加された場合にも適切に対応できるように、拡張性のあるシートを構築できる必要もあります。
数式の1つ1つは、あとから1行や1列が追加されても容易に対応できるように書かれていなければなりません。
データベース機能において、見やすさとは拡張性の高さを示しています。
もちろんミスはないほうが良く、操作は速いほうが良いのですが、シミュレータ作成者としてエクセルを使う場合と比べるとそれほど重要ではありません。
VBAについて:データベースを分析するうえでは、どうしても関数だけでは行えない動作もあります。このため、データベース処理においては、シミュレータと比べるとVBAの重要度が高いのですが、まずは関数による分析を習得することを目標にしておくとよいでしょう。
◆エクセル上級者であるために
シミュレータとして使う場合は速さや正確さを、データベースとして使う場合は軽快さや拡張性が求められます。
用途によってそもそも軸の違う評価になっているということがわかるでしょう。
ただし、シミュレータだから拡張性が少なくてよいわけではありませんし、データベースにミスがあるのはいただけません。
このように、総合的にエクセルスキルが高い状態とは、やはりどちらとしても使いこなせる必要があるのです。
シミュレーションにデータベースの関数を使うこともあれば、データベースを分析するときにショートカットキーを使うこともあります。
まとめると、エクセルスキルとは以下の3要素に集約されます。
1. ショートカットキーで素早い操作を行う
2. 軽快で拡張性の高い関数を使う
3. ミスを減らし拡張性を高めるために、見やすいシートを作成する
一般的に関数が重視されがちですが、ショートカットキーやデザインも同じくらい重要だということを意識しておくとよいでしょう。
VBAについて:基本的には、ショートカットキーや関数をひととおり使いこなせるようになってからで十分です。世の中にあふれる「VBAで自動化」と書かれているものの中には、実は関数を組み合わせれば行える操作や、ショートカットキーを使えば数秒で行えるものも珍しくありません。
最後に
エクセルスキルは、ビジネススキルにおいて非常に重要なスキルの1つです。
もはや終身雇用ではなくなった現代の社会において、自分のキャリアを守れるのは自分のスキルだけです。
この時代を生き抜くために、特に20代などの若い層は、日々自分のスキルを研鑽しなくてはなりません。
そのための手段の1つとして、XHacksがお役に立てれば光栄です。