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ニコンの激安中古レンズを復活させる(その6)Ai Micro-Nikkor 55mm F3.5

おつかれさまです.今回は,初のマクロレンズになる.以前から接写ができるこの手のレンズが欲しかったのだが,やっとのことで送料込み3千円以内で入手できた.このマクロレンズは設計が古めだが,評判は悪くないようである.復活できれば,机上の物撮りが容易になると期待している.

こちらにもあります.Micro Nikkor 55mm F3.5はF2.8の先代モデルです.

現状把握

届いたものを見ると外装に細かな汚れやキズが多々あり,使用感が強い個体だった.LEDライトを通してレンズを覗くと,細かなチリやカビがあり,クリーニングが必要な状態であった.カメラにレンズを装着してファインダーを覗くと,F3.5にしてはとても暗くて,ピントが合わせにくい.絞りや絞りリングの動作に問題はないが,フォーカシングリングはスカスカで,ヌルヌル感がまったく感じられなかった.とりあえず分解してレンズをクリーニングし,グリスアップすることにした.

フロント側からのアプローチ

分解の方法は,例によって下記のウエブサイトにあるので,この通りやれば間違いない.

まず非常に小さなセットスクリューをマイナスドライバーで外す.するとフロントの鏡筒全体を回転させて外すことができる.

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この状態で,レンズ全体を逆さまにすると,対物レンズユニットが重力で外すことができる.

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ここからは対物レンズユニットの分解になるので,下記のサイトを参考にしてほしい.

マウント側のレンズは,アセトンで接着剤を柔らかくしてから,カニ目レンチを使って外すことができる.次のリングは,ゴム手袋をして力を入れれば回すことができた.

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次に,フロント側はゴム製のレンズオープナーで回して,遮光リングを外す.これで,3つのレンズ(貼り合わせレンズを含む)すべてに両側からアクセスできるので,レンズクリーナーで清掃するばレンズのクリーニングは完了である.

ヘリコイドのグリスアップ

今回は,スカスカなヘリコイドのグリスアップにも挑戦してみた.とはいってもカメラレンズ用ヘリコイドグリスは,入手したレンズの価格よりもお高いので,近所のホームセンターにあった2種類の汎用グリスで代用した.シリコングリスはかなり柔らかいが,一方のモリブデン入りグリスはかなり硬い.あくまでも本来は専用のヘリコイドグリスを使うべきなので,応急処置であると思ってほしい.

これは柔らかいグリース
こちらは硬いグリース

ヘリコイドを分解してしまうと元の位置に戻すのが面倒なので,今回は外れるギリギリのところまでヘリコイドを露出させた.露出したヘリコイドから黒くなった古いグリスを拭き取り,新しいグリスを塗ればひとまず完了である.

実は,当初硬いほうのモリブデン入りグリスを塗ってみたのだが,ヘリコイドが非常に重くなった.慌ててシリコーングリスを買い足して,塗りなおした次第である.若干軽くなったが,まだ重いように感じる.まあしばらく使って様子をみることにする.

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これが噂のダブルヘリコイド

まとめ

今回は,マクロレンズを分解してレンズを清掃し,ヘリコイドをグリスアップした.この個体も一度オーバーホールされた形跡があり,ネジが酷く固着しているようなところはなく,分解は楽にできた.レンズがきれいになったためファインダー越しの映像も明るくなり,ヘリコイドの動きも格段に改善されて満足である.

肝心のレンズだが,初めて接写専用に設計されたレンズで接写してみると,近くの物に簡単にフォーカスできて,これがとっても楽なのである.無限遠から最短撮影距離の0.241mまでフォーカシングリングを1周ちかくの(300°以上)ストロークがあるので,微妙な焦点合わせが容易にできる.これまで標準ズームレンズにおまけのマクロ機能で近くの物を撮影していたのだが,これからは接写にはこのレンズ一択になるだろう.

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最短撮影距離0.241mで撮影しました.愛用のセイコーアルピニストです.
Nikon D300, F22, SS1/2, ISO400, +1/2EV, 三脚使用
直径約40mmの腕時計をこの1/2倍マクロレンズで撮影すると,センサー上で直径20mmですので,APS-Cサイズ(24x16mm)のセンサーいっぱいに時計が映りますね.

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ガチャポンのおもちゃです.
Nikon D300, F8, SS1/60, ISO400, +1/2EV, 内臓ストロボ使用

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もちろん風景写真も撮れます.
Nikon D300, F11, SS1/750, ISO400

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ピントを外してますが,花も良い感じに撮れました.
Nikon D300, F5.6, SS1/90, ISO400

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