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Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G) を整備して,スナップ写真を撮ってみた

お疲れ様です.つい先日また少しレンズを売却して整理し,FujifilmのXF 35mm F1.4というレンズを入手した.中古でもそれなりのお値段だが,評判通り写りが素晴らしくてとても満足している.

ところが、こうなると中望遠レンズも一緒に持ち歩きたくなる.もちろん純正レンズなら間違いないが,使用頻度は高くないのでお安く済ませたい.既にOlympus PEN-FのE.Zuiko Auto-T 100mm F3.5というコンパクトなオールドレンズを所有しており,これでも悪くないのだが,もうちょっと明るくて、寄れて、写りの良いレンズが欲しくなってしまった.

オールドレンズに文句を言っても仕方ないですが、E.Zuiko Auto-T 100mm F3.5は最短撮影距離が1.5mで被写体に寄れないんです。

調べてみると,CONTAX Gシリーズカメラ用の中古レンズが、比較的安価で出回っているらしい.上品なシャンパンゴールドのレンズである.私にとってコンタックス用のツアイスのレンズと言えば,一眼レフのヤシカ/コンタックスマウントのレンズなのだが,それに比べてこちらのGマウントのレンズは,1994年発売の比較的新しいレンズである。しかもレンジファインダーカメラ用なのでフランジバックが短くて,ミラーレスカメラには好都合である.

だが安いのには訳があって,このレンズたちはカメラ側モーターによるオートフォーカス専用レンズなのである.ニコンのAi AF NIKKORレンズも,回転軸がレンズ内部の機構にカップリングしてフォーカシングする点では同じである.しかし,NIKKORにはマニュアルフォーカス用のリングがあるのに対して,こちらにはそれがない.ではどうやってフォーカシングするのかというと,フォーカスリング付きのマウントアダプターを使うのだ.この種の特殊なマウントアダプターは、以前は非常に高価だったようだが,近頃は類似品が各社から売られていて,お値段も通常のマウントダプターと大差ないようである.

中国からの直送なので納品には時間はかかりますが,そのぶんお安いです.
私は試してませんが,フォーカシングリングが幅広いこちらのタイプのほうが良いかもしれません.

さて,コンタックスGマウントのレンズには,広角から中望遠まで数種類あるのだが,中望遠のSonnar 90mm F2.8はその中でも最もお安く,お買い得感が感じられる.中古カメラ屋さんで購入しても良かったのだが,少しでも安くと思い、ヤフオクでなんとか1万円以下で落札した.

最短撮影距離は1mで,まあまあ寄れるレンズです.

実際手にしてみると,中望遠レンズにしては意外と短くて小さい.重さもそれほど重たくなく,フィルムカメラ時代のオールドレンズという感じがしない.

レンズの分解・清掃

入手したレンズは外装のコンディションがよく,絞りにも不具合がないのは良いのだが,レンズにはカビがあり、分解して清掃することにした。

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透かしてみると,何か所がカビが見えました.それほど酷いわけではありませんが,クリーニングが必要です.

分解の方法は,ネットにもあるようだが,こちらの本に解説があるので参考にさせてもらった.

私はAmazon Unlimittedに加入しているので、電子書籍が追加費用ゼロで読めました。

フロント側からのアプローチ

まずゴムのレンズオープナーを使って銘板を外す.最初なかなか回らなかったが,少量の無水アルコールをネジにしみこませると回った.同じくゴムのオープナーを使って,前玉ユニットを取り出す.こちらはすんなり外れた.さらにレンズ押さえているリングもゴムのオープナーで外す.すると前玉が外れる.次のスペーサーを兼ねたリングは,そのまま外れる.最後に中玉をレンズサッカーを使って外せば,分解は終了だ.

一番奥の絞りと対面しているレンズは,前玉ユニットに直付けされている.実はこのレンズがカビていた.3枚のレンズをそれぞれ両側から無水アルコールを使ってクリーニングして、組み立て直す.幸いにもカビはレンズクリーナーと無水アルコールで取り除けた.

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分解したレンズを見ていると,とても透明度が高いのがわかります.

マウント側からのアプローチ

後ろ玉ユニットを外すにはマウントを外す必要はない.後ろ玉ユニットを同じくゴムのオープナーで回して外す.奥まったところにあって作業がしにくいが,意外と簡単に外れた.あとは,両側からレンズをクリーニングするだけだ.

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このSonnar 90mm F2.8は,レンズへのアクセスは非常に簡単である.レンズの枚数も4枚(4群5枚)しかないので,ブロアーを使って慎重に埃を払って組み立てれば,満足のいくクリーニングができるだろう.

マウントアダプターに取り付ける

少し待たされたが,無事にマウントアダプターは中国から送られて来た.実際取り付けてみると,なんというか,マニュアルフォーカスレンズのヌメリ感が感じられず,かといってスムースなリニア感も感じられず,ちょっとがっかりである.まあ,もともとオートフォーカス専用に設計されたレンズを無理やりマニュアルフォーカスで使おうというのだから,受け入れるしかない.

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カメラに取り付けるとこんな感じです.不自然に長くならないのが良いです.

スナップ写真をとってみた

焦点距離90mmということは,APS-Cセンサーでは35mm換算で135mmの画角になる.

自宅周辺をお散歩

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木漏れ日が玉ボケを作ってくれました.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F4.0, SS1/60, ISO800, FS Velvia

東京都墨田区向島百花園にて

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キキョウです
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8, SS1/60, ISO400, FS PROVIA

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ノウゼンカズラです
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8, SS1/180, ISO200, FS PROVIA

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アジサイです.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8, SS1/60, ISO800, FS PROVIA

東京都墨田区押上駅周辺にて

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背景が,いい感じにボケてます.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8, SS1/160, ISO200, FS PROVIA

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絞るとシャープですね.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F5.6, SS1/200, ISO200, FS PROVIA

羽田空港第2ターミナルにて

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海の向こうにスカイツリーが見えます.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F5.6, SS1/60, ISO320, FS PROVIA

北海道小樽市街をスナップ

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小樽駅のランプ
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8 SS1/2500, ISO400, FS Classic Chrome

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やたら大きな時計がシンボルの時計屋さん
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F5.6, SS1/125, ISO200, FS Classic Chrome

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小樽と言えば小樽運河ですね.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F5.6, SS1/60, ISO250, FS Classic Chrome

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小樽運河沿いの倉庫
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F5.6, SS1/60, ISO400, FS Classic Chrome

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海辺の街灯に留まるカモメ
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F5.6, SS1/800. ISO200, FS Velvia

東京都台東区不忍池にて

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ハスが咲いているようなので,出勤前に立ち寄りました.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8 SS1/2500, ISO400, FS PROVIA

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3mくらい離れてましたが,大きく写せました.
Fujifilm X-E2, Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G), F2.8 SS1/2500, ISO400, FS ASTIA

まとめ

カメラから出てくる写真は期待とおり,コントラストが高めの素晴らしい写りである.このお値段で、試してみたかったツアイスのT*コーティングのレンズが所有できて,大変満足している.これからしばらく旅のお供には,AFの35mm F1.4と,このMFの90mm F2.8になりそうである.

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