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もてなし、てんこ盛りの「道の駅」

鉄路に駅があるのだから道路にも駅が!

「道の駅」が流行っている。本来は鉄路に駅があるのだから、道路にも駅があってもいいのではないかということで、自然発生的にどんどん「道の駅」が全国に広がったのではないかと考えていた。しかしそれは出来過ぎた話で、気になったので少し調べてみた。
すると、やはりそれほど牧歌的でも理想的でもなかったが、考えてみれば確かに道路は国土交通省の管轄で、やはり彼らが音頭を取って広げた公共的なものらしい。「道の駅」の出来た経緯はどうあれ、全国各地の道路上に「道の駅」が誕生し、政府が関与したものとしては珍しく機能的にもイメージの点でもかなり成功していると思う。

アメリカは道路文明が背骨のような大きな国なので「道の駅」に類似したものがあるのかと思っていたが、意外にないような気がする。というのは「道の駅」は、昔から日本の街道に沿って設けられた宿場を「駅」と呼んでいたことから、「鉄道の駅」も「道の駅」もそれにならって「駅」と呼ばれるようになったので、そうした文化的な歴史が「道の駅」にも息づいているように思うのだ。その一つは「おもてなし」の精神が色濃く残っていることだ。さらにもう一つは、「何でもあり」の文化だ。
「道の駅」ができるまでは、高速道路のサービスエリアなどのように、一般道路には24時間利用できる休憩所はなかった。レストランや売店のあるドライブインはあったが、使えるのは施設の利用者とか駐車場の利用者に限定されている。モータリゼーションが本格化すると、長距離運転をするドライバーも増えて、ドライバーのニーズも鉄道の駅に近いものとなり、それが1993年の「道の駅」制度の制定につながっているのだろう。

街道沿いの宿場を、駅と呼んでいたことにならった

日本の「駅」の伝統が「道の駅」にも

また「道の駅」制度の制定に先駆けて1990年から「道の駅」制度の社会実験として山口県と岐阜県、栃木県の3県12カ所に「道の駅」が設置され、1990年1月、広島市での「中国・地域づくり交流会」にて、道の駅の設置構想が検討された。そして、翌年の1991年10月から「道の駅」制度の社会実験として、山口県と岐阜県と栃木県3県の12ヵ所に、道の駅が設置され、社会実験が開始された。さらに1993年には「道の駅」として全国103駅が登録された。基本的に地方から設置されたため、都市部に「道の駅」は少なかったが、2007年に東京都八王子市に「道の駅」が設置されたことにより、47都道府県すべてに「道の駅」が開設されることになったという。

「道の駅」では、24時間駐車場を利用して休憩でき、トイレや自動販売機などの設置された。こうした整備によって、周辺の道路交通情報や天候を確認でき、ドライバーの運転に役立つ多様な情報が発信されている。さらには、周辺の観光案内や特産物、土産物の販売などのサービスも始まり、娯楽施設の役割も担うようになり、地域の活性化や情報発信にもつながっている。こうした拡大、進化の背景に「おもてなし」文化や、「何でもあり」の文化がある。

楽しみな「道の駅」の想像を超えたこれからの進化

「道の駅」は、いまでは制定当時の予想をはるかに超えた進化を見せている。そば打ちやカヤックなどの体験教室を設置した駅もあれば、温泉施設や植物園、水族館やプラネタリウムなどの娯楽施設を併設した「道の駅」もあり、休日に子連れで遊びに行くこともできる。改善、改良の化身とも言われる日本人だけに、日本人の手に掛かると「道の駅」がどこまで進化するか予測はできないが、本末転倒型の大変革を起こして、また新しい日本文化の一つに昇華する可能性は大いにあると思う。「線状降雨帯」ではないが、日本の道路の上を「サービスエリア」であり、インバウンドの旅行客を楽しませる「フードコートやレストラン」であり、ある意味「テーマパーク」であり、「ショッピング・アーケード」であり、「文化施設や情報センター」が、道路に沿って延々と続くようなこともあり得るかも知れないのだ。


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