胃がん患者に多い変異判明 東大、東アジアで
2020/6/7付 日本経済新聞 朝刊
東京大学の油谷浩幸教授や石川俊平教授らは、日本や韓国などの東アジア地域で胃がん患者が多い原因を明らかにした。胃がんにかかわる遺伝子に非アジア人にはない変異があった。遺伝子を調べることで、胃がんになるリスクを推測できる可能性がある。
研究グループは、アジア人319人を含む531人の胃がん患者のゲノムを解析し、親から受け継がれるゲノム配列の個人差がないか詳しく調べた。日本人の胃がん患者(243人)のうち、18症例で「E―カドヘリン」という遺伝子のアミノ酸が置き換わる違いがあったという。
この違いは、日本人と韓国人に共通していたが、非アジア人の症例ではなかったという。E―カドヘリンは遺伝性びまん型胃がんの原因遺伝子とされている。
アルコールを分解できない遺伝子を持つ日本人のうち、飲酒や喫煙習慣を持つ人ほどゲノムに変異が起き、がんのリスクがあることも指摘した。成果は米科学誌電子版に掲載された。