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月はどうにも長かった。長い1月が終わり、2月に入った、というところで久々に大きな抑うつに襲われた。年単位でこんな大きな抑うつに遭ってなかった。リリースの気張りから一気にうつに流れ込んだのか、何かは分からないが、途端に灯っていた火が消える感覚というか、脳に靄がかかった感覚というか、とにかくSNS中毒のおれがSNSを一切見る気にならなかったし、抱えていたタスクもそこで全てストップした。今だってまだ半分うつのような精神の衰弱をしていて、何かするにも普段の倍はパワーを使う。インスタグラムのストーリーズを見るのにだって気力を使う。この状態でSNSを見る、というのはまだ眠気も覚めやらぬまま朝日の眩しさを浴びるのと近い。その眩さにやめてくれ、と言いたくなる。数日かけて次第に良くなってる観はあるが、まだ胃が弱ってるうちは固形物がきついような、そんな感覚が心にある。

改めてリリースを終えて、それから17℃を発表して、いろんな人からリアクションを貰った。作品というものは一度リリースしてしまうと、おれのものから公共のものになったような感覚があって、これからはおれのものだけでなく色んな人によってまた外殻を帯びていくのだろう、と思う。それが文化史だし、人類史であり、ひいては歴史というものなのだと思う。つまりおれの作品は人類史という図書館に蔵書され、誰かが保存してくれる限り、何百、何千年と埋もれようと、そのビオトープを構成し続ける。そのビオトープに仲間入りできたことを嬉しく思う、リリースのたび、特にEPやアルバムなどの作品集を出すたびにそれは思う。

この小さな功績を、時々中高の友達に見て欲しくなる。結局、おれはおれの少年時代を救いたいのかもしれない。そしておそらく、少年時代一緒に過ごした人々全員がおれを褒め称えるような事態が起きても、おれの少年時代はきっと救われないのだろう。

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