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金曜日にきみは行かない 著:盛田隆二

 天才ロックシンガー白石ありすの記事を依頼された音楽ライターの<きみ>。だが、インタビューは散々だった。ありすが全く口を開こうとはしなかったからだ。それでも<きみ>は十個の質問に対する、ありすの十通りの沈黙を書き分け、編集部にファックスする。そこにありすから「助けて」と電話が入る。東京の湾岸のスタジオを抜け出し、紅葉の足尾へ、新宿歌舞伎町の街路へ、ふたりの逃避行が始まる。境界線を失踪する、ありすと有子。時間の迷路を旅するきみとぼく。<分身>をめぐるネバーエンディング・ストーリー。解説・柴田元幸

 背表紙引用しました。解説を含め202ページ読了。なんだ?なんだ?と文章の迷路に迷い込み、ラストで初めの文章に戻る。この時間軸の動き方は想像力の乏しい私には難解であったが、ありすとラインで繋がって行く思考回路は、統合失調症のそれと見紛うほど切なかった。

 私も頭に響く声を頼りにあっちに行ってこっちに行ってと繰り返した経験がある。妹さんが統合失調症でグループホームに入院してる盛田さん。妹さんの思考回路もお見通しなのだろうか?

 解説にニッポンの狩猟期が載っていたので読む順番を間違えた気分だ。次はニッポンの狩猟期を読もう。


 以上

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