ニッポンの狩猟期 著:盛田隆二
あとがきと解説を含め264ページ読了。
ボロボロになったリーと、彼女を姉と慕うカズが、それでもなお、新宿にとどまろうと決意するところは涙なくしては読めない 川本三郎氏絶賛!
「子供たちよ 戦争がそこまで来ている」ローリング・ストーンズは「ギミー・シェルター」のなかでそう歌った。ストーンズを愛してやまないという盛田隆二のこの悪夢のような近未来小説はストーンズの曲を文字に置き換えたように熱い。川本三郎
春日部の孤児シェルターを脱走したカズは、国道を歩き続けた。逃げ出す際、教官をナイフで刺した感触は今も手に残っていた。カズは九歳。生後まもなくトイレに捨てられたため両親のことは何も知らない。帰る家も故郷もない。カズが目指すのは、貧困と暴力とセックスにまみれた混沌の街・新宿だ。だが、そこでは腐敗した警官や自警団、新宿浄化団がのさばり、街路に溢れたストリート・チルドレンが毎日のように無造作に殺されていた。果たしてカズは生き延びることができるのか。世界の現実を見据える衝撃の近未来小説。解説・川本三郎
背表紙と帯を引用しました。しかし、一人称の主人公の語りで描かれる訳では無く、登場人物の多い作品。入れ替わり立ち替わり、場面が変わり、読むのに時間がかかったのは盛田さんの小説の中では珍しい事だった。
川本三郎さんが涙なくしては読めないと語ってるラスト。私はそんなに悲観的に読んだのではなく、ここで終わりなのかと言う印象だった。それまでに悪夢のようなセックスやドラッグの描写がいかんなく発揮されていたからだと思う。しかし、あとがきを読んで絶句した。この小説を越える非人道的な殺人が現実に行われていてニュースになってるからだ。ニュースの詳細は割愛するがブラジルのストリートチルドレンが8人殺され、その軍事警察の所業を地元の人は支持していると言うのだ。
盛田さんの社会の暗部を抉るストリートチルドレンの現代版。リョウの死は残念だったが息子が仇を取ってくれるとサエコが語る場面、この続編がニッポンの狩猟期2008に描かれてるのだとすれば、すぐに次を読まなければいけない。
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