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AI君、私よりいい文章を書かないでくれ

最近とても生成AIに興味があります。
分からない言葉や概念の解説は、Google先生よりGemini君に聞いてみるようにしています。
日頃の業務において少しでも活用できそうなケースがあれば、まず入力してみるようにしています。特に翻訳ではとても重宝しています。

ふと、昨日書いた「ナラティブ」と「ストーリー」の話(AIに人が勝つには「ナラティブ」しかない的な話)をGemini君に読み込ませてみたら、なんかすごくキャッチーなタイトルと内容で私の興味を惹きつけてくれました。
私の文に「目を惹く表題」が少ないこと、構成力に至らない点があることをGemini君が優しく指摘してくれました。

…愚痴みたいになってますが、自分の文よりGemini君の文章をそのまま載せた方が内容は簡潔だし伝わるくね?と思っています。
Gemini君に頼んだのは、原文を入れて「この文章を分かりやすさ・読みやすさの観点から修正して」だけです。
Gemini君が直してくれたものと私の元文とを比べてみたいと思います。

Gemini君が書いてくれた文章

ナラティブな時代:ただ情報を伝えるだけではダメ?

近年、ビジネスの世界でよく耳にする「ナラティブ」という言葉。これは、単に情報を伝えるだけでなく、そこに企業の想いや背景といった物語を織り込むことを意味します。

例えば、商品の広告で、その商品が生まれた背景や、開発者の熱い思いなどを伝えることで、消費者は単に商品そのものだけでなく、その商品に込められた「物語」に共感し、より深く商品に結びつくことができます。

なぜナラティブが重要なのか?

SNSが普及し、誰でも気軽に情報発信できるようになった現代。企業だけでなく、個人も自分の考えや商品を世の中に発信する機会が増えました。このとき、ただ単に情報を羅列するだけでは、他の情報との差別化が難しく、人の心に残ることは少ないでしょう。

ナラティブは、そんな状況を打破するための強力なツールです。自分の考えや商品に「物語」を加えることで、より多くの人々に共感してもらい、忘れられない存在になることができます。

高島屋の事例:失敗から生まれた物語

2023年に起きた高島屋のクリスマスケーキの炎上事件。

当初は企業イメージの大きな損失となりましたが、高島屋はそこから立ち上がり、「失敗から学んだこと」「お客様への感謝」といった物語を伝えることで、ブランドイメージの回復を図りました。

以下は記事の抜粋です。

昨年のクリスマス、大手百貨店の高島屋がネットで販売した冷凍ケーキが崩れた状態で届いた。返金対応は1100件に上り、「特定は不可能」と原因もはっきりしない。ただ、今年も同じ監修シェフや製造工場らのチームで、商戦に挑んだ。そこには苦境を経験したからこその思いがあった。
(中略)
そして迎えた今年のクリスマスシーズン。高島屋は昨年と同じく、横浜市のフランス料理店「レ・サンス」が監修し、埼玉県羽生市の菓子メーカー「ウィンズ・アーク」が製造したケーキを販売した。昨年の経験があったからこそ、信頼回復に向けた再発防止策を行えるという決断だったという。
(中略)
「レ・サンス」の渡辺健善オーナーシェフによると、昨年の騒動後に、全国から多くの手紙やメールがあったが、大半が応援や励まし、ケーキをまた食べたいという期待の声だったという。「本当に勇気づけられた。その声があったからこそ、もっといいものを作りたいという気持ちや、期待に応えたいという思いが強くなり、今年のケーキの販売につながった」とコメントした。

この事例は、「物語」の力がいかに大きいかを示しています。

AIは「物語」を作れるけど、「想いを伝える」ことはできない

近年、AIが急速に発展し、文章作成もAIが行う時代になりました。しかし、AIは与えられた情報をもとに文章を生成することは得意ですが、人間のように感情や経験に基づいた「物語」を生み出すことは難しいと言われています。

なぜなら、「物語」には、作り手の「想い」や「経験」が不可欠だからです。AIはこれらの要素を理解することが難しいため、人間が持つような深みや温かみを表現することはできません。

一億総「ナラティブ」時代を生き抜くために

「ナラティブ」は、もはやビジネスの世界に限らず、私たちの日常生活においても重要な要素となっています。SNSでの発信や、友人との会話など、あらゆる場面で「物語」を伝える力が求められています。

「ナラティブ」を意識することで、私たちはより効果的に自分の考えや想いを伝え、周囲の人々と深い繋がりを築くことができるでしょう。

まとめ

  • ナラティブとは、単なる情報伝達ではなく、そこに「物語」を加えることで、より深い共感を呼ぶこと

  • SNS時代において、ナラティブは差別化のための重要な要素

  • AIは「物語」を作ることは得意だが、「想い」を伝えることは苦手

  • ナラティブを意識することで、より効果的にコミュニケーションが取れる

私の書いた文章

「ナラティブ」と「ストーリー」を考えた話(AIに人が勝つには「ナラティブ」しかない的な話

え…文章力・構成力・魅力、私の完敗じゃないですか……
Gemini君じゃなくてGeminiさんと呼ばせてください…

改めて思う「AIに出来ない『ナラティブ』こそ人が目指すべき」

私の元文を優れた文章に1秒で変換してくれたGemini君。いやGeminiさん。
有料課金の生成AIなんかはこれ以上に原文を意識したまま、読みやすく魅力ある文章に作り直してくれるんでしょう。
ただ、原文作者の私は出力された文章を読んで、思いました。

私の「思ったこと」「考えたこと」に関する文章はどこに消えてしまったんだ…?

私の「思い」に関する記載は、Geminiの出力文章ではそぎ落とされていました。

例えば高島屋のくだり、1年前にクリスマスケーキ倒壊で「炎上」した「ストーリー」を今年のクリスマスでは高島屋が「ナラティブ」に語ったことについて、私は驚きや非凡さを感じていたのですが、そういった気持ちを汲み取ってほしいような記述はごっそりとそぎ落とされてしまいました。
※原文でしっかり「驚いた!「非凡だ!」とかは言ってないですけれど。

例えば文章の流れ、原文は私の語りベースで進むので、全体を通じて私の「感じたこと」「思ったこと」「考えたこと」などが伝わる構成になっています。ところがGemini版では、そうした全体の流れもどこか淡々としているような印象があります。

両文を比べてみると、生成AIに「ナラティブ」な語りはやはり難しいのではないか?と感じざるを得ない違いがあります。

元文でも書いてますが一般にAIは感情を持たず、「思い」の重要性が高い「ナラティブ」は、AIでは難しく人間に利のあるものなのだと思っています。

出来事に思いを語る、感じたことや思ったことや考えたことを言語化する、そういった「人間味」が、これからの時代は人間の独自性であり武器になるんだと感じます。

改めて、「ナラティブ」は人間のクリエイティビティの牙城でもあり、その価値や重要性が一層高まっていくのではないかと思った次第です。


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ぱる
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