1週間短歌 (20200614〜20200621)

西へ行き東へ行って追いかける扇風機の風ひまわりみたく

手をのばす頬が近くによってくる私はそれを「愛」と呼びたい

湯をためる間に短歌の本を読む言葉と水がざぶざぶあふれる

灯台の代わりにたてた付箋なら帰る港を教えてくれる

世界には猫しかいないことを知る朝でも夜でもない色の空

栞紐大海原に放り投げ手繰る言葉は潮に任せる

ひらがなに牙を抜かれた「ぼうりょく」は白髪交じりの猫にはにかむ