【読書感想】働き方改革、直すべきは会社だけ?
昨今、政府主導で「働き方改革」が行われ、残業時間の規制を始め様々な施策を打ち出し始めている。実際、私の勤務先でも、昨年より残業時間の規制は厳しくなった。
しかし会社側が変わりさえすれば、本当に働き方改革は成功するのか?国の定めた規制にただ従っていけば、本当に働きやすい国になるのだろうか?
今回私は、 熊谷徹さん著の「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか」を読んだ。その中で紹介された、ドイツ人の持つ日本とは全く異なる価値観の中に、私たち日本人がより幸せに働くためのヒントを得ることができた。
本中では、ドイツのサービスの質が日本とは対極的に低いことが紹介されている。しかしドイツの持つ、働き手は客と対等な立場だという考えは、客の都合に振り回されないことにも繋がる。そのため、働き手は客のために長時間勤務をしたり、休暇の取得を減らしたりすることは少ないのである。
一方、日本は客としては、世界的にも高い水準のサービスを受けることができる。しかし、「お客様は神様」という言葉もあるように、働き手は客を常に優先させなければいけない風潮もある。
台風明けで鉄道が動いていないにも関わらず、満員の人が駅に詰めかけ、場合によっては駅員さんに怒鳴る人。店の営業時間が過ぎても居座る客に対し、頭を下げながら対応する店員さん。
これらの行動は、確実に働き手のストレスを増やしたり、時間外勤務の増長に繋げているだろう。高い質のサービスに慣れている私たち日本人は、時に過剰なサービスを求めてしまっている。
日本のサービスの質の高さは素晴らしいと思うし、決してドイツに完全に合わせる必要はない。しかし、私たちが「客」として行動する時、働き手の「働き方」を「ブラック」にする行動をしていないか。私たちも見直す必要があるはずだ。