わかりやすい伝達の型を身につける / PREP法・DESC法
わかりやすい話し方
わかりやすい話し方や情報の並べ方の型をアタマの中に備えつけておけると便利である。
なぜならば、そうすることによって、自分自身の中の情報があらかじめ整理整頓され、話したり書いたりするときでも情報伝達の速度が上がるし、相手にとっても一定の品質の納得感をもたらすことができるからである。
そのようなやり方には例えば、PREP法やDESC法と呼ばれる情報の並べ方、作文の方法論がある。これらは述べるべきことの順番通りに頭文字を取ったものである。
PREP法
すなわち、PREPとは、
Point 主張または結論または帰結または論点(賛成or反対) claim or conclusion or consequence
Reason 上記のPointを支える理由または根拠 Premise or Evidence
Example 上記の論証(=理由+結論)の実例、具体例。
Point 最初の主張を反復する。言い換えが推奨されることもある。
の頭文字を並べたもので、実際にこのような順番で情報を述べると伝わりやすいとされる。では実際に深草が過去に書いた記事の一部をこのPREPの順番で書き直してみよう。
上記の記事の書き出し2パラグラフは次の通りである。
必ずしもぴったりと言い換えにはできないが、これをPREP法の型に収めるとしたら以下のようになるだろう。
[Point]私は2つのストーリーを同時に承認されたい。すなわち、「自助努力によって自分の地位の手に入れた」というストーリーと「みんなのおかげでここまで来れた」というストーリー、どちらも手に入れるために書籍を執筆し、その内容を認められたい。
[Reason]なぜならば、私は自尊心も自分に協力してくれた人に具体的な実績によって報いたいという気持ちも両方あるほど、欲張りだからである。
[Example]例えば、「哲学」や「発達障害者」や「会計」や「英語」や「IT」のいずれについても先人から教え導いてもらった部分と自分でがんばってキャッチアップしたという自助努力の部分があり、いずれの分野であっても、あるいはこれらの幾つかの組合せであっても両方とも承認されるかたちで著者=権威に成りたいのである。
[Point]したがって、私は自分自身の努力と先人や今一緒にコミュニケーションしてくれる人たちへの感謝を同時に承認してもらいたいし、同時に報いることができるようなかたちで何らかの実績を挙げたいのである。
DESC法
また、DESCとは、
Describe 相手の状況を網羅的かつ客観的に描写して事実関係を明らかにする Describe the behavior/situation as completely and objectively as possible. Just the facts!
Explain 自分自身のその行動やその状況に伴った気持ちを説明する Express your feelings or thoughts about the behavior/situation. Try phrasing your statements using “Ï” and not “You”. Beginning sentences with You often puts people on the defensive, which means they won’t listen to you.
Specify あなたが相手に望む行動・解決策・妥協案などがどのようなものか、特定して具体化する Specify what behavior/outcome you would prefer to happen.
Choose / Consequences あなたが望む行動や解決策がどのような結果をもたらすか、具体的に提案し、相手に選んでもらう Specify the consequences if this happens. (Both positive and negative)
の頭文字を並べたものである。これも深草の過去記事の一節に当てはめて、実際に並べ直してみよう。
[Describe]社会思想を制度として提言するときには、自分自身の境遇を中心に考えるとうまくいかない場合があります。例えば提言者がインテリや健常者のような何らかのマジョリティの属性を持つことが事実としてあれば、そこからはみ出してしまうようなマイノリティ層にまで考えが至らない懸念が存在するからです。
[Explain]私自身も発達障害者というマイノリティに所属しています。ですから、どのような主義主張であっても、それが発達障害者の人々の生活にどのような影響を及ぼすのかという点を考えずにはいられません。仮にネガティブな影響があるとすれば、我々マイノリティはそもそも関心が持たれているのかどうか(存在すら無視されているのではないか?)、あるいは具体的にどうすれば除去あるいは緩和できるのかが気になります。
[Specify]ですから、一定の方針や主義に則(のっと)って社会制度を変革する際に、すべてのマイノリティに配慮することは困難かもしれませんが、少なくとも、大枠として幾らかの関心を支払って頂いて、例えば女性・高齢者・障害者・外国人といった枠の中の一部としてでもよいので、発達障害者から直接意見提供を受ける機会を設けてもらえるとありがたいです。
[Choose/Consequence]もしそうした機会が十分に頂けて、各マイノリティ当事者の意見がそれぞれ多少なりとも反映されていれば、最初に方針として提唱されたときに残っていた「考慮されていない・無視された人々がいる」というバイアスを緩和し、より普遍的で多くの人に納得してもらえる仕組みになると思いますが、いかがでしょうか。
わかりやすい話し方'
かなり書き直してムリに当てはめた感じではあるが、このように常にPREPまたはDESCで同じ相手に伝えるようにしていれば、伝える力、すなわち内容の整理整頓のスピード並びに実際に話したり書いたりした際の情報伝達速度があがり、わかりやすい話し方が実現できるだろう。
(3,416字, 2024.02.09)
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