煌びやかな才能とせつなさと
2022年2月20日 岐阜スゥープス対トライフープ岡山GAME2
岐阜73-89岡山
まず、試合後に多くのブースターがSNS上でつぶやいていたように、心にしこりが残る試合だったのが非常に残念である。コート上に大声で発せられる暴言。それを制しきれないどころか、影響を受けて混乱してしまった笛。勝利への強力な渇望がそうさせるのか、負ければその座を追われる恐怖心なのか、はたまた自分のバスケットへの自信がないのか。「何をしたって勝てば良い」という古い感覚は、もうみんなの中にはない。バスケットが、いやスポーツが好きなブースターは勝敗だけを見に来ているのではなく、試合を楽しみに来ているのだ。北京五輪でもそうした無法的な勝者は称えられていない。この試合は子供たちに見せたい試合ではなかった。
その中で一服の清涼剤となったのが、何度も取り上げるが高橋快成の活躍だった。このゲーム2では31分以上のプレータイムを得た特別指定の高校3年生は、4得点5アシスト3スティールという数字以上のインパクトをブースターに与え、敵の指揮官が「何だよ!あの若いの!」と大声で怒鳴るほど、相手にとって厄介な存在になっていた。
あの異様な空間の中で自分のプレーを出せるメンタルもたいしたもの。この試合は“今季”ホームラストゲームとなった高橋によって少しだけ救われた。
内容的には、第4Qまでは接戦だったものの最後に引き離された構図。笛という批判しにくい状況も気になったが、途中でもっと相手を上回れるチャンスがありながらも、それが出来なかった。ただ第2Qの杉本憲男の8得点や、第1Q古賀森人のスリーポイント+バスケットカウントの4得点プレーなど、随所にいいプレーもあった。
重ね重ねになるが、スティールから高橋が抜け出したが相手に背後から引っ張られたシーンで、相手にアンスポーツマンライクファールが出されなかったこと、古賀やジェイス・ジョンソンの正当なアタックがオフェンスチャージを取られたことなど、ポイントとなるプレーで不可解な判定となってしまったのは至極残念だった。
髙橋快成
--ホームラストの試合だったが、どんな気持ちで臨んだのか?
「いろんな人に感謝をしてということはもちろんですが、ゲーム中はとにかくゲームに集中して、その時に出来ること、チームのシステムを遂行できるように意識していました」
--良いプレーもたくさんあったが課題として感じていることは?
「チームメイトにアシストするとか、そういうところは今まで得意としてきたので、あとは自分がオープンになった時にしっかり決めるシュート力、タフショットではなくオープンショットをきちんと決められるようになりたいです」
--長い時間出場することができましたが?
「これだけ時間を与えてもらったのに、これだけのパフォーマンスしかできなかったのは、自分として『まだまだだなあ』と思うので、もっと勝利に貢献できるように頑張っていきたいです」
--次の試合は岩手戦。高橋選手にとって今季最後のゲームになりますが?
「とにかく下を向かずに、今日見つかった課題を練習で修正して、チームに僕がエナジーを与えられるように、それで勝利に貢献できるようにやれればベストだと思います」
杉本憲男
--第2ピリオドの8得点はブースターも盛り上がりましたよ。
「自分のやれることはそんなに多くはないので、ボールが来たらシュートを打つとか、5人の動きでどう攻めるのかをいつも意識しています。今日も思い切って打とうというというところなんですけど、自分が意識する以上に快成がむちゃくちゃ良いパスを出してくれたので(笑)。昨日も快成と話をして『信じて待っているから』って言っていたら、本当にちゃんと出してくれて、自分がどうというよりも快成がうまく使ってくれたという感じですね」
--チームの守備面はどう感じていますか?
「ディフェンスの強度はだいぶ上がっていて、また快成なんですけど、ガードからバンバン当たってくれますし、ボールを持っていない選手に対するディフェンスも、相手が攻めやすい位置で持たせないようにできていて、ボールのないところの守り方も意識が強まってきたと思います」
--次節は岩手戦ですが?
「今日のベンチの雰囲気を維持したいですね。今日は(荒川)凌矢が試合に出られなかったんですけど、彼が声を出し続けてくれたおかげでベンチの雰囲気を作ってくれました。コートの中の選手もプライドを持ってプレーしていましたし、もちろんそれは当たり前なんですけど、その当たり前を続けることが結構難しいので、その当たり前をキープすることで、次のステップというところに行きたい。今日を最低ラインにしてそれ以上になるように、日々成長していきたいと思います」
山田洋介
--リング下にうまく入った得点がありました。
「本当にいつ以来の得点かって感じです(笑)」
--出場時間は短くても、リバウンドなどの存在感はいつもありますよ。
「それだけはってところですよ。リバウンドは取れなくても別に何か言われるわけではないし、裏方的な地味なプレーですけど、一個取れたら沸いてくれますから」
「虫がわいてる」(中野・D-COOL・大介)
「無視、無視(笑)」(山田)
--地味なプレーもそうですが、味方の良さを引き出すことをしていますね。
「ベンチから見ていて、いいことでもあるんですけど、上手い子はきれいなバスケットをやるんですよね。セオリー通りというような感じがあるので、自分が出た時はセオリーを破ってやるというか、ちょっと異物じゃないですけど、相手のディフェンスのノイズとして、ちょっとでもズレを生じさせることで、味方が生きてくれればと思っています。自分は全部の得点に絡む存在ではないですけど、相手がちょっと違うなという感じになって、味方が得点を取れればそれでいいかなと思っています」
--ベンチから高橋選手に「クールにいけよ」っていう声が面白かったです。
「あいつは高校生でちょっとスカしているので。もっといろいろ出してほしいですよね。本当に楽しみな選手です」
--ああいう盛り上がりのまま岩手戦に臨みたいですね。
「先週の埼玉戦は不甲斐ない試合になって心配でしたけど、同じくらい強豪の岡山とはここまで闘うことができたし、岩手が相手でもいけると思います。気持ちを切らさずに対策を立ててやっていきたいと思います」
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