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50日の長さ

 最近、1日というのがとても大きな単位だと知った。
 1日、24時間、1440分、8万6400秒。その全ての時間を成長に充てる存在にとっては1日がとてつもなく長い時間なんだろうなと思うようになったからだ。
 
 一昨日までは抱き上げた時に所在なげにぶら下がっていた手が、昨日から私の服を握りしめるようになった。昨日までは声をかけても私のいる方向がわからなかった。今日は声のした方向を向くようになった。
 毎日何かしら変化がある。1ヶ月ちょっとの育休を終えて、日中は息子と過ごせなくなった彼が休日の度に「いつの間にかこんなことができるようになっていた、初めてを見たかった」と嘆く。

 息子を産んでから50日が経った。1日がそんなに長いのだから、50日というのは途方もなく長い時間だ。
 産まれた日の写真を見返して、こんなにふにゃふにゃと頼りない生き物だったのかとびっくりする。足をばたつかせ、大声で泣いて呼びつける今からたったの50日前なのに。

 子供は3歳までの間の可愛さで親孝行の全てを終えるとどこかに書いてあった。孝行してもらうために産んだわけではないのだから少し違和感を覚えるがとにかくその頃までは「手のかかる度合い < 可愛さ」ということか。

 1095日、2万6280時間、157万6800分。それだけの時間が経過したとき、私はどんな息子を抱えているんだろうか。
 責任の重さも感じるが、なにより楽しみである。

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