30年後
リビングから小さな、欠けた花火が見える。6月に入ったばかりだけど一気に夏の気分になった。
彼が私の人生に存在するようになって4回目の夏。最初の年は一緒に夜空を見上げるような関係ではなくて、そのあと2年は世界的な災禍でイベント自体がなかった。今だって決して根絶したわけではないけど、やみくもにセーブした生活を送っていた頃からは世間全体が少しギアチェンジしている。
2人で見る花火はとうぶんお預けだな、と思う。4年目の今日はもう2人じゃなくてきっとこの先何年も2人で空を見上げることなんてないんだろう。
30年経ったときに2人でまだ同じ空を見たいと思えたら、きっとそれが幸せなんだろう。
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