2018年11月 椎名林檎と宮本浩次 / 獣ゆく細道
シンガーとしての超絶圧倒的な存在感。この男を語る上では避けて通れない要素どころか、そこが最大の魅力だと思っている。エレファントカシマシのボーカル宮本浩次は本当にとてつもないシンガーである。
椎名林檎とコラボした人で、彼女の存在感を圧倒した人は実はあまりいない気がする。比較的みんな椎名林檎を立てる側に回りがちではなかろうか。決してこれは椎名林檎がどうとかそういう事ではない。この宮本浩次というシンガーの、シンガーとしての放つエナジー(NARUTOで言えばチャクラ、ドラゴンボールで言えば戦闘能力)が異常なのだ。もうスカウターが爆発なのだ。まさに細道をゆく牙を剥き出しにした獣の如き絶唱。エレファントカシマシのボーカルとしてではなく、こうして一人のシンガーとして表に出ると、その迫力が如実にわかるのもまた面白い。
しかし、この楽曲の立役者である椎名林檎には本当に拍手喝采だ。このビッグバンド的であり、ラグジュアリーだが情熱的な楽曲を宮本に歌わせた、というのが超グッジョブ(何様だ)である。椎名林檎独特の歌詞の表記にもとても合ってるし、PVを見てもらえればわかるのだが、本当にこの人は魂を素っ裸にして、剥き出しにして歌う。グングンと突き進んで行くように歌う。着流しもよく似合うし、身に纏っている狂気を含め、本物の侍ってこういう感じだったのかな、と思うほど。
僕が宮本浩次を好きなのは、年を重ねる毎に、表向きには柔和になっていっているように見えるが、歌への向き合い方はどんどんピュアになっていってるところだ。曲に対して素直に、思うがままに。もちろん歌は業界トップクラスに上手いのだが、そこに重きを置いていない、というか、上手い人が魂をむき出しにした時の恐ろしさを感じるのだ。
過去に名だたるフロントマン達が参加してきた、スカパラのゲストボーカルシリーズの11月リリースのシングルに宮本浩次の参加が決定した。もう今の時代が求めている声、としか思えない状況である。