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2017年5月 BES / THE KISS OF LIFE

 男が男に惚れるっていうのはこういう事か、と思う。変な意味じゃなくて。僕はこの男(ラッパー)に心底惚れ込んでいて、クラブでライブを見た事がある程度で直接会った事なんてないけれど、もう完全に虜なのである。

 BESというラッパーの音源に初めて触れたのは、2008年9月にリリースされた1stアルバム『REBUILD』の入荷日で、界隈では待望されていたアルバムという情報だけは知っていて、お店のオープン前に試聴機で聴いてみたが最後、もう衝撃という言葉以外見当たらなかった。あ、ラップってこういう事なんだ、と初めて気付かせてくれたと言っても過言ではないほど、その‘ラップ’に耳を奪われた。後ろ体重なフロウなのに、もたついているわけでもなく、リリックの内容はかなりサグな内容なのに、その背後には寂しさを感じて、こんなに日本語でカッコいいラップってあるんだ、と自分の中の何かが開眼した感じがした。

 そんな自分の生涯ナンバー1フェイバリットラッパーの、2回目の服役からの出所後にレコーディングされた3rdアルバムがリリースされた。本人曰くリハビリと言っているが、そのラップにはやはり彼に染みついたそのフロウがあるし、やはりリリックの言葉選びが‘危なっかしく見えて、どこか寂し気’なのである。けれども、前作『UNTITLED』に比べれば、先行きの見えない暗さはなく、どこか酸いも甘いも受け入れて、それでもラップしていくんだというわずかな希望が見える。

 池袋BED界隈のメンツが客演で参加しているが、僕はやっぱり仙人掌とのfeatが好きだ。互いに日本のラッパーとしてはスキルが飛びぬけている2人だし、‘ラップがかっこいい’という一番シンプルでいて一番難しい部分が卓越している2人の共演はいつ聴いても刺激的だ。

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