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2019年5月 あいみょん / 瞬間的シックスセンス

 CDショップのバイヤーだった性分のせいか、大ヒット作品や世間的に話題の音楽について語ることをどこか避けていながら、その逆ヒット作や話題作に真正面からどっぷり対峙したい衝動に駆られたりもする。この音楽のどの辺が巷を騒がせるのか、という研究のようなものだ。ちゃんと検証して、これはこうだからヒットしたんだ、と自分で腑に落ちたい。

 と、いうわけで今回の研究対象は「あいみょん」だ。36歳のおじさんがJKに人気のアーティストを聴くことを怖がらずに、堂々とCDを買う事にワクワクしながら手に入れた「瞬間的シックスセンス」は彼女の2ndアルバムで、ビルボードもオリコンも週間2位という素晴らしいチャートアクションを起こしている。

 作詞作曲は全てあいみょんで、全部聴いてみた感想は、とにかく"歌詞とメロディ"の魅力に尽きるという結論だった。なんと全12曲中8曲が恋愛ソングという事にも驚きだが、その8曲の恋愛ソングもそれぞれで表情とテーマと目線が違うし、ところどころで上手に韻を踏むことでリズムを作り出すし、遠回しと直球のバランスも絶妙。恋愛ソング以外の4曲も大きく言えば、あいみょん位の年齢の女性が生きる事/生きている事を歌っていて、8/12が恋愛、4/12が人生(=日常)、と考えるとその頃の女子の脳内グラフのような気もしてくるから面白い。

 メロディもどこかフォークっぽい懐かしさと泣きメロが要所要所に差し込まれてるし(特に「ひかりもの」のサビは最高)、このアルバム全体を通して聴いて本当に感心してしまったのが、やはり(良い意味で)若い世代のミュージシャンは、おっさんどもが勝手にカテゴライズしてる音楽ジャンルを余裕で飛び越えて昔から聴いていて、作る音楽もその辺を自然にごちゃ混ぜにできている事。あいみょんの場合はフォークソングとラップとロックが、スルっと融合している感じがした。

 また今後も、思ってもみないような融合をしてくれるアーティストが出てくるんだろうと思うとやはり音楽を聴くのはやめられない。

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