2019年3月 LimpBizkit / Three Dollar Bill, Y'all
思えばちょうど20年前の1999年3月、初めてどっぷり好きになる洋楽と出会った。それは終業式の帰り道、高校の最寄り駅のホームだった。高校初年度の1年間が終わったその日、恐らく刺激に飢えていたであろう私は、友達に『なんかかっけー洋楽教えて』的な事を言ったんだと思う。それまで洋楽と言えば『フェノミナン』という映画の主題歌だったエリック・クラプトンの『Change the world』がいいなーと思って、それが入っているコンピレーションCDを買ったのみだった。
そんな私に、友人の彼がカバンに入っていた今回紹介するCDを貸してくれた。見るからに危険な匂いのするイラストのジャケットで、電車の中でそのブックレットを開くともう『アメリカ不良祭』みたいで恐怖でしかなかった。もはや伝説の暴走族雑誌『チャンプロード』を読みながら電車に乗っているかのよう。
ドキドキしながら家に帰ってコンポ(懐)にCDを入れ再生ボタンを押すと、なんか不穏な音と共に外人が叫んでるし怒ってる。それが終わってトラック2。ギターの弦をピックで掻きむしる音、そして聴いた事もないような音のギターのリフ、その直後『イーヨッ!』という叫び声と共に爆音が飛んできて、怖さがピークに達した私は急いで一時停止ボタンを押した。ほんと冗談抜きで親に怒られると思った。とりあえずヘッドホンに変えて、この怖い音楽を聴き進めた。その先の曲も怖かったけど、なんかどんどんかっこよく思えてきて、結局その年の春休みはこればっかり聴いていた。これが初めてLIMP BIZKITの1stアルバム『Three Dolloar Bill, Y'all』と出会った時のエピソードです。私の音楽の聴き方がちょっと変なのは、きっと初めて受けた洋楽の衝撃がこのアルバムだったからだと思っている。
正直今でもこの時のこの衝撃が味わいたくて色々な音楽を聴いていると言っても過言ではないし、だけどそう簡単にはこの衝撃は塗り替えられない。でもいつかはあるはず、と思ってる。だから音楽は楽しい。