2017年8月 植田真梨恵 / REVOLVER
ビートルズの『REVOLVER』と言えば、ギターの逆回転を行ったアルバムとして有名だが、植田真梨恵の『REVOLVER』はどんな楽曲なのか。まず『おっ!』となったのは、『教会の鐘の音~』から始まるラインのボーカルの背後で何か囁かれている部分である。浮遊するような(逆回転のような?)声が後ろでうっすらと聞こえてくる。上記ビートルズの『REVOLVER』が頭にある状態で聴くと、まさか?と思ってしまう。
そしてやはりこの人のすごいのは歌詞である。本作の特徴である夏にぴったりのゴリゴリのロックンロールサウンドの上に乗せるその歌詞が、韻を踏んでいてリズムがよく、たまに英語に聞こえるような言葉選びと発音もあったりして小気味良く耳に入ってくる。
例えば‘【愛してる】の~’の部分が‘I should tell NO’に聞こえたり、‘相対性理論’がネイティブな発音の‘So time set it on !’に聞こえるし(この英語の意味はわからないが…)、実はこうした言葉と歌い方も、ロックンロールに乗せる歌としてはとてもハマりが良い。韻に関して傑作は『教会の鐘の音 平和の象徴の鳩 あと、この忠誠心を~』の部分で、この短い文の間に『音、鳩、あと、この』と4つも韻を踏んで、その直後『イロハからホヘト』の『ホヘト』で韻のおかわりをしていたり、『明日への足止めを 喰らうくらいどうぞ~』の部分での『明日、足/喰らう、くらい』とここでもまた短い間にボンボン!と韻を踏んできて、聴き心地が非常に良い。
また、彼女独特のセンスだなー、と思ったのは、サビ後半の『傷を塞いで~』の次のサビの『くちびる塞いで~』で、最後のサビの終わりが『くちびる塞いだ~』という3つの流れで、ストーリーを感じさせる表現をうまく忍び込ませるなー、と感心してしまった。というわけで今回のシングルも傑作です。