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社内のつながりを広げ、組織の力に。TISの「縁結び」を取材し、幸せのヒント探してきました!
コロナ禍をきっかけに急速に広がったテレワークは、より柔軟な働き方を可能にしてくれました。その一方で、社内のコミュニケーションに課題感を抱くワーカーや企業は少なくありません。総合ITサービス企業のTISさんも、その一つ。社員同士のつながりを「会社の財産」ととらえ、ユニークなイベントを開いています。
その名も「縁結び」。いったいどんなイベントなのでしょうか? 「幸せな働き方伝え隊!」が現場を取材し、堀口信一副社長に企業としての狙いをじっくりと伺いました。
「実は・・・」 驚きの経歴に沸く会場
11月半ば、金曜日の午後6時。豊洲オフィス(東京都江東区)の社員レストランに、仕事を終えた社員のみなさんが続々と集まってきます。1月に第1回が開かれた「縁結び」も、この日で5度目の開催。今回はTISにとどまらず、対象をTISインテックグループに広げて参加を募り、計9社の約100人が申し込みました。
社員数はTISだけで約5500人、約60社からなるグループ全体では2万人を超えます。大きな会社なだけに、この日の参加者も大半が初対面。いくつかのテーブルに分かれて着席したものの、ちょっぴり緊張している様子です。お酒や料理を楽しみながら、少しずつ静かに会話が始まります。
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ところが・・・そんな硬い雰囲気が変わるのに、それほど時間はかかりませんでした。手始めの謎解きゲームで緊張感が和らいだ後は、お互いに自己紹介。それぞれのテーブルで「最近ハマっていること」や「実は○○・・・」といった話題で盛り上がった後、内容を会場全体でシェアしました。「実は水泳の日本代表でした」「プロのバスケットボール選手でした」――。驚きの経歴が次々と明かされる度に、会場は大いに沸きました。
最後に挑戦したのは、「ペーパータワーチャレンジ」というゲームです。用意された紙を自由に使ってタワーを作り、チーム対抗で高さを競います。イベント開始から約1時間半。冒頭の緊張感はどこへやら、みなさんすっかり打ち解けていました。
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きっかけは社内アンケート
そんな縁結びが始まったきっかけは、TISが2023年に実施した社内アンケートでした。働き方について尋ねたところ、多くの社員から「コミュニケーションに関する課題感が高い」という声が寄せられたのです。
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、多くの企業で当たり前となったテレワーク。柔軟な働き方ができる一方で、社員同士が直接顔を合わせる機会はどうしても減ってしまいます。そこで、部署を超えた「ななめ」や「偶然」のつながりを生み出そうと、新たな施策として縁結びを始めました。
企画したのは、TIS管理本部総務部のみなさん。日頃からオフィス環境の整備を担っています。例えば2021年に完成した豊洲オフィスの各フロアには、多目的に使えるコラボレーションエリアや会話・食事禁止のフォーカスエリアなどが設けられ、「時間」と「場所」を自由に選べる働き方が可能になりました。こうしたハード面に加えて、交流の機会を生み出す縁結びのようなソフト面の取り組みにも力を入れているのです。
「この人たちと会えてよかった」
実際、縁結びの参加者たちは、どんなことを考えているのでしょうか。これまで全ての回に参加しているというTISのお2人に話を聞いてみました。どちらも入社3年目。クレジットカード会社向けのシステム開発や保守を担当しています。
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地田大樹さんは入社以来、テレワークが中心。仕事柄、顧客のオフィスへ出向く機会が多く、テレワークにならざるを得ない部分があります。一人で仕事をしていると、ふと誰かと話したくなるときがあるそうです。縁結びに参加するときは毎回、少し緊張するという地田さんですが、「いつも終わった後には『この人たちと会えてよかったな』って思うんですよ。こんなに面白い人がこの会社にいるんだとか、こんなにすごい人がいるんだっていう気付きがいっぱいあります」
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一方、星野瑞月さんは西新宿にある東京本社に、ほぼ毎日出社しています。「直接話した方が相手の表情もわかるし、何より他の人たちが頑張っている姿を見るとモチベーションになります」。縁結びを通じて社内の知り合いが増え、プライベートでも交流の幅が広がったといいます。「人によるとは思いますが、私は仕事とプライベートを完全に分けたいとは思っていなくて。だから、普段の業務では直接関わらなくても、飲みに行ったり、休日にバーベキューに誘ってもらったり。そんなつながりができたのが、大きいですね」
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社員のつながりは会社の財産
それでは、社員同士の縁を結ぶことは、企業にとってどのような価値をもたらすのでしょうか。縁結びで自ら乾杯の音頭を取った堀口信一副社長は、こう話します。「社員一人ひとりが多様なつながりを持つことで、新たな試みができるし、新しいITやビジネスにつながります。ですから、つながりは会社にとって大きな財産。そのためのお金は経費ではなく投資だと考えています」
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つながりの重要性を語るうえで、堀口さんが触れたのが、コロナ禍が働き方に与えたインパクトの大きさです。「オンラインなら、育児や介護などそれぞれの事情に合わせてより柔軟に働くことができる。こうした働き方が社会全体で理解されるようになったのは、本当に大きな進歩だと思います」
「一方で、オンラインでも円滑なコミュニケーションが成り立つのは、コロナ前に一緒に働き、人間関係がある程度できているからだと思うんです。職場で顔をつき合わせていると、相手の顔色や挙動が分かるので、自然と声をかけやすいですよね。しかし、オンラインではチャット機能があるとはいえ、相手の様子がずっと分かるわけではありません」
TISは様々なITサービスを提供しているだけに、プロジェクト単位でチームを組んで仕事を進めることが多いそうです。一つのプロジェクトが終わるとチームは解散し、新たなプロジェクトが始まります。そのため、常に同じメンバーで仕事をしているとは限りません。コロナ禍の間に、新たに入社した人たちもいます。テレワークの浸透から数年が経った今、コミュニケーションの前提となる人間関係を結ぶことが以前よりも難しくなっている――。堀口さんは、こう考えているのです。
「コト消費」の重要性
「世の中は『モノ消費』から『コト消費』へとシフトしていますよね。これだけテレワークが浸透するなか、企業はオフィスという『箱』を整えるだけではなく、面白いコンテンツを提供することも考えていかないと、社員が出社しようという動機にはつながらないと思うんですよ」。オフィスで顔を合わせる機会が減った今だからこそ、「ゆるくていいから集まろうよ」。そんな機会を創り出そうと、縁結びを始めたのだといいます。
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社員同士のつながりが広がることで、一人ひとりのモチベーションが高まり、結果的に生産性も向上する。こうした好循環が生まれることを、堀口さんは期待しています。
しかし、縁結びのような取り組みの効果を数値で「見える化」することは簡単ではありません。予算や手間をかけることに二の足を踏む企業も少なくありません。「確かに見えにくいところはあると思うのですが、そもそも私たちはITという目に見えづらいものを作る会社。見えにくいものには慣れているはずなので。大事なのは、会社の考えや狙いを社員一人ひとりに理解してもらおうという姿勢じゃないでしょうか」。堀口さんは笑顔で、こう話してくれました。
たすきがけの関係性が組織の力に
堀口さん自身、縁結びに参加して驚いたのは、参加者の年代が幅広いこと。若手に限らず、40代や50代の人も数多く参加しました。
「40~50代からすれば、今の20代と接することで一体何を考え、何を求めているのかがよくわかります。一方で、若い社員は上の年代が頼りになる存在だと気づくかもしれません。こうした『たすきがけ』の関係性がどんどん生まれると、組織の力になっていくはずです」
12月には名古屋でも縁結びを開催。今後は大阪でも開くそうですよ。
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