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映画のキロク

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映画のキロクは記憶!
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記事一覧

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』にみる、良き恩師のいる風景

1970年、ボストン近郊。 全寮制の男子高バートン校を舞台に、料理長メアリー(ダヴァイン・ジ…

耳
3か月前
6

『サウンド・オブ・フリーダム』にみる、荒涼たるアンダーグラウンド

 これほど一筋縄でいかない作品も珍しい。 国際的な人身売買組織から少年少女を救い出した実…

耳
3か月前
1

『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』にみる、フィルム・のわーる・ガーリッシュ

 シリーズ第3弾。完結(たぶん)。  宮崎出張にやって来たちさと(髙石あかり)とまひろ(伊…

耳
4か月前
5

『Pearl パール』にみる、『X エックス』シリーズ躍進と悪徳の栄え

 ミア・ゴズ主演のスラッシャー・ホラー3部作として始まった「X エックス」シリーズ第2弾。…

耳
4か月前
1

生存率0%絶望にみる、『エイリアン:ロムルス』

エイリアン最新作を観ると、前回の『プロメテウス』でもそう、過去シリーズを振り返ってみたく…

耳
4か月前
1

『エイリアン』シリーズ考

 最新作の鑑賞で『エイリアン』が懐かしくなってシリーズの一気見をした。いまなお変わらずハ…

耳
4か月前
12

『箱男』にみる、匿名性に守られた窃視者

 石井岳龍監督による芥川作家・安部公房の同名小説初の映像化。 一度、海外で始動していた企画が頓挫して数十年、本編に至る。 当時のキャスティングそのままに贅沢な布陣で異常な物語が動き出す。 モノクロにはじまる導入はワクワクした。 これはひょっとするかもしれないと思った。 ”箱男”(永瀬正敏)によるモノローグ。匂いは昭和。 そう昭和感が半端ないのだ。 頭から段ボールをかぶり、完全な匿名性を手にして世界を一方的に覗き見る“箱男”と、その謎の生態に魅せられ自らも箱男になる贋医師(

『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』 にみる、真面目の美徳

『殺さない彼と死なない彼女』『恋は光』の文芸チックな作風がたのしい小林啓一監督最新作。 …

耳
5か月前
2

『ルックバック』にみる、初期衝動

 創作を諦めない二人の姿に感情が動く。 マンガにしろ、小説にしろ、映画にしろ、何かに夢中…

耳
5か月前
7

『君は放課後インソムニア』にみる、ひとりじゃないこと

 不眠症といって思い出されるのは『マシニスト』か『インソムニア』か、『フローズン・タイム…

耳
5か月前

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』にみる、加速進化のある世界

 鬼才デヴィッド・クローネンバーグ × ヴィゴ・モーテンセン氏が4度目のタッグを組んだSF…

耳
6か月前

『ライド・オン』にみる、香港映画の終焉再び

いつからだろう、ジャッキー・チェン氏の作品を追わなくなって久しい。 反日発言がどうとか言…

耳
8か月前
4

『関心領域』にみる、良心の呵責

アウシュヴィッツ収容所と壁ひとつ隔てた隣に暮らす一組の家族がいた。 所長を任された親衛隊…

耳
8か月前
5

『悪は存在しない』にみる、自然界隈

長野県、水挽町。自然豊かな小さな町に、突然持ち上がったグランピング場開発計画を巡って揺れる住民たちと、彼らと対立する形となってしまった会社側担当者が織りなす人間模様を綴る― 濱口竜也監督最新作は観る側の意識を試す、説明のいらない軋轢の行く先を描く。 外部から来た異分子を悪と決めつけて眺めるうち、内部に潜むもっと歪んだ黒い正体を突きつけられて広い荒野へ投げだされるよう。 主人公父娘の素朴な暮らしをはじめ、住民たちの生活は正しく、うつくしいといえるか。心もとなく画面を見つる