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新年と私

ぼくは2車線対向道路の歩道を歩いて本屋に向かっていた。道路を挟んだ反対側の歩道から声が聞こえた。おーい!って、女の人の声だった。その声に気付いたぼくは立ち止まった。手を振る女の人に向かってぼくは自分を指さした。ぼくですか、って。彼女は首を縦にふりながら、そうそう!って大声で言った。ぼくは怪訝な顔をして、首をかしげた。

あなた、〇〇よね!、はぁ、そうですけど、わたし△△なんだけど、覚えてない?、えーと、どこでお会いしましたっけ?、小学校の時、同じクラスだった△△だよ!、うーん、何年生の時?、四年生!遠足の時に〇〇がお弁当忘れて、私のお弁当半分あげたじゃん、覚えてないの?、…あっ、あー△△、思い出した、えっ、それで、そこで何してんの、オレのことよくわかったな。

いや、あの、歩いてたら顔が見えてさ、〇〇かなと思って声かけたの、あのさ、今から行くところがあって時間がないんだけど…、わたしね、4年生で〇〇と同じクラスになって、うれしかったんだ、それで1年間、夢のような時間で、斜め後ろの席からさ、〇〇のこと、毎日眺めていたの、4年生の終わりに転校することになって、最後の日にお別れの挨拶しようと思っていたら、〇〇、風邪で休んじゃってさ、そのままになっちゃって、わたしさ、ずっと覚えてたんだ〇〇のこと、それで、いつか、そのこと伝えたいって思って、それで、偶然、ほんと偶然、今見かけて、こうやって、声をかけたってわけ、わかった?

あぁ、そう、なんだ…。あのさ、そっちに行ってもいいかな?、大声で話しても、車の音でよく聞こえないんだ。

来なくていいよ。きちゃだめだから、そこにいて大声で話してよ。

そっちに行くよ。少し先に横断歩道があるから、渡って戻ってくる。

だめだよ。先に行っても横断歩道ないから、来なくていいから。

すぐそこだから、そのまま待っててよ。

ぼくは走り出した。

〇〇、会えて良かった!どこかで会ったら、また仲良くしてよね!

ぼくの耳に届く声が小さくなっていった。ぼくは横断歩道を目指して走った。走っても走っても横断歩道に辿り着けなかった。遠くに見える横断歩道に近づけなかった。立ち止まって後ろを振り返ると、停留所に停まったバスに△△が乗り込もうとしていた。

ちょっと待って、そこで待っててよ。△△!、なんでバスに乗るんだよ!

【初夢ラフスケッチ】

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