今に在る
自室の白い机に向かってテキスト入力マシンのポメラでタイピングしている。10分後には家を出て仕事に向かう。閉じられたブラインドの向こう側は暗くて青い。
「今日は雨が降るかもしれません」ダイニングのTVからアナウンサーの声が聞こえる。キッチンから油の跳ねる音が聞こえるのは、長男の弁当用に家内がフライドポテトをつくっているから。
身体の調子を探るために深呼吸してみる。お腹がグルグルして少し不安。首から上は浮腫んでいるような感じ。関節まわりは熱っぽくて、全体的に筋肉痛。首筋は普通に凝っているけど呼吸は深い。不規則な睡眠のせいで眠さが残っている。総合的に判断して、それほど悪くないのは、今日が金曜日だから。
最近、文章を書かない日がたまにある。やりきれない感情が小さくなっている。今、感じていることをタイピングしないと、自分の存在を証明できないと思っていた時期は終わったのか。少しずつ、自分の存在を認めることができるようになったのか。
書く機会が減っても、書くことをやめるつもりはなくて、まだ書けるなら、その先に見える景色を書いてみたい。猛烈に何かを求めてタイピングするのではなく、書きたいことをタイピングするように、普通に書くことをしていきたい。
窓の外から雨の音が聞こえてくる。雨の勢いが急に強くなる。もうすぐ家を出るのに、窓を打つ雨音がどんどん大きくなってくる。大気の流れる音が窓の外に聴こえて、強く吹きつける風で家全体が僅かに揺れた。
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