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eスポーツ(esports)はなぜ流行らないのか?(1)


この記事は2020年8月時点での時世に基づいた内容となっており、今後大きく市場や状況が変化する可能性があります。


私がeスポーツに関与し始めて3年程度経とうとしており、その中で年々状況が変化しているが大きく世論がスポーツとして認知しているわけでもなく、そのように受け入れる声も大きくなっていない。
その点についてかなり核心的な面で触れる人がいない状態なので、なぜそのように前向きな世論にならないのかを記事にしておきたい。

1、スポーツマンシップという言葉や概念がまだ強く存在しない

スポーツの世界や勝負の世界では、正々堂々などの表現を用いて勝負として表現されることが多々ありますが、eスポーツ対象となるゲームの多くは実際にプログラムの世界の話なのでチートのような不正行為もあれば、チーミングやゴースティングのようなメディアで見る分には卑怯に見えるやり方もあり、単純にプレイヤー側でそこまで崇高な「競技」としてそもそも捉えておらず、所詮「遊び」としか考えていないケースが基本です。

そういったプレイヤー側とプロとしてあるべき姿勢や考え方の乖離が大きいため、遊びという意見が多い状況があります。
これについては本来ゲーム自体は実際のところ入り口が遊びなのでプロはプロとしてもっとしっかりしたスポーツマンシップの意識を確立していく必要があります。スポーツマンシップについての論点は別途後述をします。

以前は大会中に日本人プレイヤーがチートを使っているということで世界的に恥ずかしい評価を招いたこともあるし、ゲームによっては中国人の9割はチートを使っていると言われるほどゲームが崩壊している場面もあったり、最近のFall Guysのようなゆるいバトロワゲームでさえすでにチーターが発生しているので、今後もチートについてはスポーツマンシップの話と関連して論点の1つとなる懸念であります。ほかにもいろいろとスポーツマンシップの論点はあるが別な機会まで割愛します。


2、本名でプレイをする概念が無い:個の存在が現実ではなく仮想に陥りやすい

本来サッカーや野球などを競技する際はプロアマ問わず当然名前でこの存在として参加するわけですが、ネットを介して顔を出さずにプレイできる環境であるがゆえにプレイヤーネームは自由に名乗れる環境です。
むしろ本名はネチケット的にはNG視されており、本名でプレイすることは難しいところです。同じ概念で顔を出さないためにマスクもよく見ます。

本名でプロで有名といえば梅原さんが有名ですが、実際にプロゲームチームで検索してメンバーを探してみると数百人いる中で本名の人を探すのがいかに難しいか分かるように、まだ本名で活動するという風土が無いわけです。

これはある程度の業界的な感覚や常識の変革が同時に業界全体で声を上げる必要があり、たとえば小規模であろうともとにかく大会を開催して参加をする際には本名である必要がある、などの基本整備が生じない限りは本名ではないし顔も出さないのでプレイヤーとしての品格なども低いままになってしまい結果的にプロの自覚や大会に出ているという意識なども欠落してしまうなど負の連鎖が生じます。

併せてプレイヤーの年齢層は必然的にやや低い傾向になる競技です。大会やプロとしてプレイする際の教育や指導などの指針も必要になります。そういった環境が現状ではプロチームでもそこまで徹底されているわけでもなく、ここ数年でも給与未払い問題や暴言やSNSのトラブルなどが数多くのチームで発生しているほどまだ組織として会社のように規律を持って取り組むというほどのマーケットや環境にも至っていません。このようにコンプライアンスの問題が付きまとうわけですので教育や指導もかなり大幅に価値観を整える必要があります。

結果的に低年齢層も多く、自分を律するような環境も希薄なプレイヤーが多いわけですから負けたので怒りをあらわにする、机をたたく、コントローラーを投げつける、暴言を吐く、などの観戦する際には眉をしかめるような場面がまだまだ多いというわけでeスポーツはスポーツとして世論に受け入れられない点の1つの課題でもあります。


3、プロチームの運営がまだプロの経営になっていない

これは仕方のないことですが、野球はまだ成熟していますがサッカー下部リーグやバスケなどスポンサーやマーケットや観客などが少ないスポーツからはどんどん運営が厳しくなります。
とくにマイナーな協議に関しては本業の仕事をしながら合間でプロ活動というケースも往々にあるわけです。

そういったスポンサーの獲得や経費管理やイベント運営、人件費のコントロールなど、やることは会社の経営と同じなわけですので非常に高度で品質の高いオペレーションでなければ利益も出ませんし、運営が成り立ちません。
同じことでeスポーツにおいてもゲームがうまければそれでプロ活動が安泰というわけではないのです。
大手のプロチームの内情も目にしましたが、本当にまだまだ課題が山積しており、直近でもちょっとしたSNSトラブルでスポンサーが一気に離れてしまう事例なども発生しました。
リスク管理やコンプライアンス管理の視点が今は国内プロチームに一番重要な課題となっていき、個々のプロ意識の指導や育成なども今後の課題になるわけです。


続く

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