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コピーライターは「頭の中整え屋さん」だと気付いた話。

「まさに、こういうことが言いたかったんです……!」


そう言って、私にコピーライティングを依頼してくれた彼女は、電話越しに鼻をすすって泣いていた。そのコピーを書いたコピーライターの私も、つられて泣いた。

大学を卒業して、私が「コピーライター」になってから16年。何千回も広告のコピーを書いてきたけれど、自分に仕事を依頼してくれた方がこんなふうに泣くほど喜んでくれたのは、はじめての経験だった。

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そして、彼女をはじめ、他のちいさなお店屋さんとのコピーライティングのやり取りを通して、コピーライターの仕事は「素敵な言葉を書くだけじゃなくて、ひとの頭の中を整える役目があるんだなぁ」と気付いたんです。デトックスとでもいうのでしょうか。

一般的には「華やかな言葉作る屋さん」に見えるコピーライターだけど、「頭の中を整えて、自分のお店や商品の方向性を明確にして、モヤモヤをすっきりさせる屋さん」なんだな、と。

今まで企業さんのコピーライティングばかりしていたから、コピーの華やかな部分しか自分でも意識できていなかったけど、コピーをお渡しした後の方が実は「コピーライターに頼んだ甲斐」があるのではと思いました。

個人の方とお仕事をしたことで、その後の活躍っぷりを間近で感じられるので、よりそう感じるようになりました。

どういうことか、noteにまとめてみようと思います!

ちなみに、泣くほど喜んでくれた依頼者さんが作る「クッキー缶」を販売するECサイトはこちらです。↓
コンセプトとか世界観に悩んで、2年間(!)ずーっと自分で作ってみては諦め……してたらしいので、お役に立てて嬉しいです。




■納品原稿、どこで使うんだ問題

コピーライターの仕事について書く前に、まずは私の話を。

私は2年前に独立して、フリーランスになりました。ですが、冒頭で泣いてた彼女からの依頼を引き受けるまで、企業さんとのお仕事しかしたことがありませんでした。

というのも、いつものようにコピー(言葉)を納品したとして、個人の方がその言葉をどうやって役に立てるのか? 上手く想像出来なかったんです。

企業に納品した場合は、商品のキャッチコピーとして使われたり、ポスターに印刷されたり、どんな機能があるのか魅力的に説明したり「使い道」がクリアなんですが、個人? はて? と。。

しかし、今回の依頼者さんに事前に根掘り葉掘り伺ったところ、ご自分の手掛けるクッキー缶を販売する「ECサイト」で使うとのこと。デザインもあらかた進んでいるものを見せていただき、使用例がイメージできたのでお引き受けすることにしました。

というか、今はminnneミンネBASEベイスなど、個人店でも自分の商品を販売しやすい仕組みもあるので、コピーの使いどころに関してはいっぱいあります!

マルシェでも、皆さん素敵なショップカードや商品説明の冊子を同封してくれますもんね~~。そこにコピーライターの出番、ありました。灯台下暗し。

↑実際のデザインラフ(BASEを利用しています)

■そもそも制作費が高いのでは問題

実は、私にとって言葉の「使いどころ」よりも引っ掛かっていたのが、コピーライティングの費用でした。個人の方にお支払いをお願いするには、ちょっとばかし高いかしら……と、勝手ながらドキドキしちゃって。

もちろん値段には、自分なりの理由があります。私はインタビューして→原稿を書く取材ライターの仕事もしていますが、それは大まかに「事前に相手のことを調べる/取材に行く/原稿を書く」という流れです。

インタビューは、相手が持っている答え(往々にして面白かったり、世間の興味を引くもの)を聞きに行って、その答えを読者の方が「なにそれ、おもしろーい」と思ってもらえるように魅力的に加工するイメージ。

が、コピーライティングはこの「取材」の部分が「ヒアリング」に代わり、依頼者の方が何を求めているか、何がしたいのか、どうなったらゴールなのか、そもそもそのゴールでいいのか、をああでもこうでもないとやり取りする時間が長いのです。

コピーを作る時、目指すゴールは相手の中にあるんだけど、それを「言葉」という形にするのはコピーライター。まとめると、こんな感じでしょうか。

【取材】
=相手が持ってる面白い答えを聞きに行く(それを読むのは読者)

【コピーライティング】
=相手が何を求めているか、探すところからやる(言葉を求めているのは依頼者)

なので、手間というと聞こえが悪いけれど、取材より(私の場合は)コピーを作る方が相手とのやり取りは増えます。でもその分、相手の商品やお店のことは取材の時以上に好きになるし、チームになれるような気がして、私はコピーライティングが好きです。

そんなわけで、時間がかかるのでお値段もちょっとばかり高いかも~と悩んでいたのですが、これに関しては見積もりを作るのと、やりたいことを聞いてコピーライターが何をできる人なのか事前に説明することで、ご納得いただけました。

というかご納得もなにも、ふつうに「分かりました! お願いします!」というノリだったし、今回の依頼者さんのあとにも何人かご依頼くださったので、費用に関しては私が気にしすぎでした。

むしろ、みんなしっかり悩んだうえで「自分に足りないのは言葉だ」と思って依頼してくれるので、、、

杞憂でした。納得のお値段みたいです。

とはいえ値段が分からないと怖いので、価格の目安もご用意してます。どうぞご贔屓に~。↓


■コピーライターに仕事を頼むとは?

ここから、本題です。コピーライターに依頼をすると、一体全体どうなるのか。以下の2つかな、と思います。

(1)自分の商品やお店を、自分のことを知らない人に説明できるようになる

(2)自分のやりたい事やビジネスの方向性が定まって、活動しやすくなる


(1)自分の商品やお店を、自分のことを知らない人に説明できるようになる

依頼者のnoritamaさん(右)は、料理教室やイベントもやってます。
優しくてひょうきんなお姉さんなので、娘が懐いてました。


言わずもがな。コピーライターに依頼する醍醐味(?)ったら、これですよね~! 商品の魅力を分かりやすくて伝わる言葉にする、です。

私はライターの傍らシェアキッチンを運営していることもあり「ちいさなお店」を営む方たちと日々お付き合いしています。皆さんお菓子づくりパン作りに関して天下一品なのですが、いざ販売となると「自分のお店について、うまく説明できない……」となる方が多いのです。

先日、生まれて初めて自分のお菓子を販売した店主さんから、

お客さまから『あなたは何屋さんなの?』って聞かれて、はじめて私は何屋さんなんだろう……って考えました」

と、打ち明けられました。

自信作のクッキーやケーキやマフィンをいくつも用意したけど、その中のどれが看板商品で、自分は何が得意で、お客さまに何を感じてほしくてお菓子を作っているのか、お客様に聞かれても答えられなかったそうなんです。

お菓子づくりの腕が確かなことや、商品の味がピカイチなことと、「自分は何屋さんなのか(なんの人なのか)」って、これまた別の話なんですよね。

そんな時、コピーライターと対話を重ねていくことで、自分のお店や商品の
魅力がじわじわ明確になってきます(根掘り葉掘り聞きます)。最終的にそれが「言葉」という形あるものになるので、そっか! 自分は◎◎屋さんなんだ! と自信を持ってお客様に伝えられるようになるんです。

おいしいパンやお菓子が作れることと、伝えるのが上手いのは別の技術なので、伝え方に悩んだ時はお近くのコピーライターにご相談ください。お近くにいなかったら、私まで~♡

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(2)自分のやりたい事やビジネスの方向性が定まって、活動しやすくなる

こちらは別のお店、マルシェで人気の「プティラブァン」さん。
店主さんが国語が苦手だそうで、お店のメインコピーを書きました。


これまでのコピーライター生活、(1)の言葉にする部分を一生懸命やっていました。でも身近な人のための言葉を作って、言葉を得たあとのその人の活躍を見る中で、「言葉」があるだけで皆さんこんなに活動しやすくなるんだ!? と、気付きました。

私がコピーを書いた人たちを見ていると、どうやらお店を営む上で「言葉がある」ってすごく心強くて、いろんな場面で迷いが減るみたいなんです。

例えば素敵な流行りのお店を見た時に、今までなら焦っていたのが「でも、自分のお店は◎◎◎だから、そもそも真似しても意味ないな」とか「こういう所は、自分のお店の参考になりそうだな」と思えるのは、自分のお店をしっかり言葉にしているからこそ得られるメリットなんだな、と。

みんな、頭の中がクリアになるからか、お会いするとシャキシャキしてて、元気ハツラツ!笑

販売日に遊びに行ったりするとニコニコで「お客さまに説明しやすくなって、口下手だから助かってます」とか「はじめて出るマルシェでも緊張しなくなりました」とか、なかには「お店の魅力が伝わるので、イベントの通過率が上がりました!」なんて言ってくださる方も。

制作会社でコピーライターをしてた時は「おかげさまで、この商品が想定より30%多く売れました!」とか、あくまでも数字で見える結果に対する感謝だったので、また違う喜びがあります。

ご依頼くださった皆さまには、本当に感謝です。。。♡


■コピーライターは、頭の中整え屋さん

そんなわけで「コピーを書く」というのは、想いを言葉にすることで、結果的に依頼してくれた人の頭の中を整えるお手伝いもできるということに気付きました。

私はお試しでしかやったことないけど「コーチング」って、こういう感じなのかなぁと思いました。壁打ちに近いのかな? そう思うと「言葉」も手に入るし、コピーを発注するってめっちゃお得だな~と思いました。

コピーライティング、いいね!

***

終わりに。

コピーを書いて泣かれる(自分も泣く)なんて、なかなか貴重な経験をしちゃったぞ! と思って書き始めたnoteですが、自分の仕事がどんなふうに世の中の役に立っているか振り返ることができて、なんか今、めっちゃジーンってしてます。語彙力なくて恥ずかしいけど。

私に依頼してくれたnoritamaさんのクッキー缶も、ぜひ食べてみてください。飛ぶぞ。(語彙!)

そんでもって私は生憎お売りするクッキーがないので、代わりに(?)スキの♡を押して、ついでにフォローもしてくれたら嬉しいです~! 喜びのあまり、おやつにクッキー作っちゃうかも。よろしくね。

noritamaさんに教わって、子供と作ったオリジナルのクッキー缶。
うまし!!!!


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炭田友望(すみだともみ)|コピーライター
いただいたチップは、浅草にある梅園で「粟ぜんざい」を食べるのに使います! おいしいものを食べて、面白いものを書くという誓い。