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ライターの仕事の中で一番好きな作業は
私の仕事にはラフ描きというものが含まれる。
ラフとは、記事の制作過程において、完成前の大まかな構成や下書きのこと。
記事や原稿を執筆する前に、見出しや段落構成、内容の流れを整理して提示する構成ラフや
画像や図版の配置、テキストの量や、コラムの有無、フォントやカラー、カコミなどの指示いれなど、デザイナーと共有するデザインラフなどがそれに当たる。
その中でも私が好きなのはデザインラフの作成で、ざっくり言えば、誌面のレイアウトや見せ方を考えてイメージとなる絵を描くこと、この作業がとても好きなのだ。
理由は単純で、ラフを描いている時が一番ワクワクするから。
自分の描いたラフを元に取材をしたり、数ある素材の中から写真をセレクトしたり、タイトルを考えたり…
あれやこれや想像しながら誌面を頭の中で生み出す瞬間だ。
元々、絵を描くことが好きで、文章よりも絵で見た方がイメージが湧きやすいタイプというのもあると思う。
でもこのラフ描きの段階でどの程度、誌面全体のイメージが想像できているか?で仕上がりの満足度は随分変わってくるように思う。
最初の答え合わせは原稿執筆のステージに進んだ時。
手元にラフがあるだけで、書くべき内容が浮かび上がってくる。
各々のピースが全てパチンとハマった時の充実感はなんとも言えないほど爽快さ。さらに言えば、ラフの時点で想定した誌面デザインが上がってきた時なんかはもう感動ものだ。
誌面媒体の編集を担う場合、このラフ描きは非常に重要な作業となる。
最終的なデザインはプロであるデザイナーさんにお願いするし、デザイナーさんによっては想定以上のクオリティで素敵なデザインの紙面に仕上げてくれるので、こんなに詳細に書かなくてもよかったかな、なんて思うこともあるけど、
どんな誌面にしたいか?細かいラフを描けば描くほど、希望を詰め込めば詰め込むほど、そのページに愛情が湧くし、上がってくるデザインを見るのが楽しみになる。
紙媒体に関わる編集ライターは、
テキストベースでただあげられたテーマを元に原稿を書けばいいというわけではなく、
そのページで何を伝えたいのか、どんな人に見てもらいたいのか、何を感じてもらいたいのか、ポイントをどこに絞るのか、読みやすい紙面とは何か…?
そんなようなことまで考え、ぼんやりのイメージを視覚化してから原稿執筆に移る、多くの人がそんな流れで作業にあたっている。