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幻想的な京の夜の隠れ家へ!由緒ある禅寺でいただく「京懐石普茶料理」


冬の京都旅、
この日のディナーは、京都の中、いえ日本の中でもひときわ異彩を放つ、荘厳な世界観をもつ場所へ伺ってきました。

その場所は、
閑臥庵 (かんがあん)

寛文11年に開山した、黄檗宗(おうばくしゅう)の由緒ある禅寺、閑臥庵。

その禅寺の中で、黄檗宗に伝わる伝統的な普茶料理をいただくことができるんです。

場所は、鞍馬口駅からほど近い静かな住宅街の一角。情報がないと、まさかこの門の先に↓

息を飲む幻想的な風景が待ち構えているとは、なかなか想像できないかと思います。

私自身、初めて伺った時のその衝撃が忘れられないということもあって、こちらに知人を案内する時は、極力情報を伏せてお連れするようにしています(笑)

さて、それでは中へと進んでいきましょう。

門をくぐり、

それぞれ表情が異なる、たくさんの石像に見守られながら境内へと続く道を歩いていきます。

そして、右へ曲がると、

待ち構えているのは、突如暗闇を裂くように現れる、幻想的なこの風景。

灯篭を頼りに神々しく光を放つ本堂へと、石畳の道をさらに進んで行きます。

そして、本堂手前の左手にある入口へと。お食事はこちらの棟でいただくことになります。


室内から四季折々の風景が楽しめる、枯山水の庭園も

夜はライトアップされ、日中とはまた違う幻想的な雰囲気に包まれています。

こちらでのお食事は、

すべて完全個室。
ブラックシャンデリアに金箔が施された襖、ランプの揺らぎ、

禅寺のイメージとはかけ離れた、煌びやかさや妖艶さも感じられる、そんな異空間です。

最初に出していただくお抹茶をいただきながら、

本日いただく普茶料理について、説明を受けます。

普茶料理というのは、一言で言うならば、中国式の精進料理のようなもので、大皿料理を取り分けていただくスタイルが基本。

彩りや盛り付けがとても華やかなのが特徴です。

そして普茶料理は、魚や肉を使用した料理は一切なし。すべて野菜や豆、穀類を使ったアレンジメニューが並びます。

いわゆる、動物性の食材を使用しない、ヴィーガンメニューにあたります。

ところが、メニューには"うなぎの蒲焼き"の文字が?!

こちらは、いわゆる"もどき料理"で、野菜などを使ってそれらしくアレンジしたもの。後述しますが、このもどき料理のレベルが高さには驚きが隠せません。

それでは、この日いただいたお料理を、簡単にご紹介させてもらおうと思います。

季節野菜の煮合わせと、梅干しの日の出揚げ
揚げ物
胡麻豆腐
くず引き

こちらは、雲片(うんぺん)という代表的な普茶料理の一つで、捨ててしまいがちな野菜の切れ端を胡麻油で炒め、くずよせしたもの。400年も前の時代からすでにフードロスに取り組まれているとは・・・・・・すごいことです。

お浸し
栗もどき

栗に見立て作った、もどき料理です。

そして、こちらも衝撃のもどき料理↓

うなぎの蒲焼きもどき

見た目、お味はほぼ、うなぎ。
皮の部分は海苔を使って再現されています。

炙った感じや、香ばしい香りまでも本当にそっくり。

以前、なぜここまで再現することができたのか、その理由を教えてもらったことがあったのですが、

それは、
「執念」なのだそうで。

"昔食べたあの味を何とかしてもう一度味わいたい"と、魚や肉を食せない僧侶たちが少しでも本物に近づけるため、研究を重ねた結果なのだそうです。

続いてのメニューは、

湯葉
酢の物
ご飯とすまし汁

そしてデザートは、

おぜんざい

目も舌もお腹も気持ちも大満足の、すばらしい夜となりました。

そしてこの日は、執事長がいらっしゃり、黄檗宗の歴史や黄檗宗ととても関連の深い陰陽道の興味深いお話もたくさん伺うことができて、

陰陽道にゆかりのある晴明神社

歴史好きにはたまらない時間でした。

ちなみに閑臥庵では、御朱印をいただくこともできます。

閑臥庵でいただいた御朱印

帰り際には、ご好意で本堂の中をご案内してくださいました。貴重な経験をさせていただき、またとない思い出に。

そんな閑臥庵、メディアが放っておくはずはないと思うのですが、ガイドブックをはじめ、テレビなどでも大々的に取り上げられることはとても少なく、それをずっと不思議に思っていました。

その理由を尋ねてみると、取材などは近年はあまり(一部を除く)お受けしていないからとのことで。

この雰囲気、このサービス、このお料理を維持するために、その判断はやむを得ないものなのかもしれません。

ここでしか味わうことのできない時間が流れる、閑臥庵。

いつの日も、唯一無二の夜を約束してくれる、特別な場所です。

#わたしの旅行記

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