「いつか」ではなく「いま」でないと
わたしの子宮筋腫は、6年・3回の手術を経て、やっと終止符を打つことができました。異常な状態になってからは10年を超えていて、いま振り返っても長い闘いだったと感じます。
そして実は、終止符の一歩手前で大事件が起こっていました。
今回は、死んでしまってもおかしくなかった、その“大事件”について書いていきたいと思います。
マガジンタイトルに「子宮筋腫と脳動脈瘤、併発の怖さ」と入れています。この併発こそが、事件の原因。
そろそろ子宮筋腫の手術をしなくては生活がままならないぞ……と思っていた矢先に、ふいに見つかった未破裂脳動脈瘤。これが、大変な事態を引き起こしてしまうのです。
2016年のあるとき、長く続く頭痛に異変を感じ、病院にいきました。鎮痛剤を飲んでも芯が残っているイメージで軽快はしないと伝えると、MRIを撮りましょう、と。そして見つかったのが、4mmの脳動脈瘤でした。サイズ的には小さな方で、本来ならそれほど手術を急がなくてもいいレベルらしいのですが、わたしの場合、場所があまりよくありませんでした。その上、通常であればできにくい部分にできているということで、医師の見立てにより「早めに手術の日程を組みましょう」と言われました。(未破裂脳動脈瘤についての詳細は、また後日)
そして、子宮筋腫の手術より先に、未破裂脳動脈瘤の手術をすることになったのです。
手術は、コイル塞栓術。カテーテルを用いて動脈瘤にコイルを詰め、これ以上の増大を抑制し、破裂を防ぐというもの。開頭ではないので、術後の経過が比較的穏やかな術式です。ただ、体内にコイルという異物が入るため、術後しばらくは、血液をサラサラにする薬を飲まなければなりません。でないと血栓ができ、脳梗塞を起こしてしまう可能性があるのです。
血液サラサラって、いいイメージですよね。ドロドロ血液にならないよう、お食事を気にされている方も多いのではないでしょうか。わたしも、それを聞いた段階で、恐怖感はありませんでした。
しかしこれが、子宮筋腫のわたしには、ものすごい敵となったのです。
未破裂脳動脈瘤の術後、経過は良好でした。コイル塞栓術なので術後は痛みもなく、運動制限もなく、予定通りの退院となり、帰りは夫の会社の近くまで移動し、一緒に車で帰宅する。予定でした……。
しかし、移動の途中で生理がはじまってしまったのです。
「あ、これはヤバイ気がする……」
過多月経の方には分かっていただけるかもしれません。お腹の中にどんどん液体が溜まっていく感覚。油断すると辺りを汚してしまう。それだけは避けなければ。
もう、こうなると、わたしを動かしているのは気力だけ。
全身全霊の力を内ももに込め、出血を漏らさぬようトイレに駆け込み、便座に腰かけた途端、バケツをひっくり返したような大量出血。
そして、ブラックアウト。
何分ほどその場に居たでしょう……。動けず、立ち上がれず。
「あぁ、これはダメだ」と感じ、必死で夫にLINEを打ちました。
夫に拾ってもらった後は、そのままの足でかかりつけの婦人科へ。
調べて分かったのは、トイレでの出血量が1リットルを超えていたこと。(ヘモグロビン値により)
1リットルの出血は、本当に、本当に、危ないのです。
そしてそんな状態を引き起こしてしまったのが、血液サラサラ薬。
子宮筋腫によってただでさえ多い経血が、血液サラサラ薬で増大。
まさか、こんなことになってしまうとは、医師にも想定外だったのだと思います。
不調でも、「まだ大丈夫」って病院を後回しにすること、あると思います。
他のことを優先して、自分のことって後回しにしがちですよね。わたしもそうだったので、ものすごく分かります。
でもね、確かに、それ“だけ”なら大丈夫だったのかもしれない。
けれど、いつまでもそれ“だけ”とは限りません。
他にも不調が発生し、それぞれの治療法が相性悪く、大変な事態を引き起こすかもしれないということを知って欲しい。
その不調を安全に治せるのは、「いま」しかないのかもしれないのです。