【中1の娘に伝えたいお金の授業】010/健康保険とは?
【中1の娘に伝えたいお金の授業 ~プロローグ~】
●●、今日から、中学校では教えてくれない「お金の授業」をしていこうと思います。
今後、社会人になるうえで、絶対に身に付けておいた方がいいのが「お金の知識」なんだ。でも、中学校ではほとんど教えてもらえない。だから、学校の先生に代わって、パパが授業をしようと思います。
今すぐ全部を覚える必要はないよ。学校の勉強も忙しいからね。でも、お金のことで困った時、ぜひこのnoteの存在を覚えておいて欲しい。人生につまずきそうになった時、きっと役立つことが詰まっているはずだから。
【第10回】~健康保険とは?~
※前回のおさらいはこちら
今日の授業では、医療保険のなかでも「健康保険」について詳しく解説していくよ。
■健康保険ってどんなもの?
健康保険というのは、被保険者とその被扶養者に対して、労災保険の給付対象とはならない病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行う制度のことだ。
…どうだろう? きっとこの説明では、意味が分からないよね。パパもそう思う。なんだか難しい表現だよね。でも実は、言っていることはそんなに難しいことじゃないんだよ。
前回の授業でも説明したけど「被保険者」というのは、その保険の対象となっている人のこと。つまりここでは「健康保険を受けている人」ってことだね。
健康保険というのは、どこかの会社に勤めている人向けの保険だ。なので「被保険者=健康保険を受けている人=どこかの会社で働いている人」を意味しているわけだね。そして「被扶養者」とは「被保険者の扶養家族」のことだから、簡単に言うと「会社で働いている人の家族」のことだ。
なので、これらをまとめると、健康保険は「会社で働いている人とその家族のための保険」というわけだ。細かく言うと色々とニュアンスが部分もあるけどね。
■労災保険が優先?
あと、健康保険の説明でポイントとなるのが「労災保険が給付されないものが対象」という点だ。
前々回の授業で、社会保険の仲間は、全部で5つあると説明したよね。覚えているかな? 医療保険、介護保険、年金保険、労災保険、雇用保険だったよね。
健康保険が「労災保険の給付対象とはならない病気やケガ…」と説明されているのは、つまり「労災保険を使う場合にはそちらを優先しますよ!」ということを意味しているんだ。
後に詳しく解説することになるけど、労災保険というのは、仕事中や会社に向かう途中などにケガや病気をしたことに対して給付が行われる制度なんだ。仕事に関連したものには、労災保険が適用されるというわけだね。
つまり、健康保険は、仕事関連以外の病気やケガについて、病院などにかかった費用を給付しますよという制度なんだ。
■健康保険の保険者
前回の授業で「保険者」という言葉も説明したよね。「保険制度の運用主体」のことを意味する言葉だけど、健康保険には、全国健康保険協会が保険者となる「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」と、健康保険組合が保険者となる「組合管掌健康組合保険(組合健保)」があるんだ。
カッコ書きの名称で呼ばれることがほとんどなので、普段の生活ではこちらを覚えておけば大丈夫。「協会けんぽ」は、主に中小企業の会社員、「組合健保」は、主に大企業の会社員が加入しているよ。
■健康保険の保険料
健康保険は保険料を支払う必要があるけど、その金額は、会社員の標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を掛けて計算されるんだ。簡単に言うと、どれだけ給与やボーナスをもらっているかによって、支払うべき保険料が変わるということだね。
そして、健康保険の場合、この保険料は、会社員が自分ですべて払うのではなく、会社と会社員が半分ずつ支払うというのが大きな特長なんだ。これは「労使折半」と言われていて、会社が半分負担してくれるので、会社員はお得に健康保険に加入できるというわけなんだ。
■パパからのアドバイス
どうかな? 健康保険の説明は難しい言葉が多いけど、じっくり中身を見ていけば、それほど難しいわけじゃないよね? ●●も会社員になれば、ほぼ間違いなくお世話になるだろうから、どんな仕組みなのかだけでもきちんと頭に入れておいてほしいな。
説明してきた通り、健康保険はとてもお得な制度なんだ。だって、保険料の半分を会社が負担してくれるわけだからね。サラリーマンのメリットの一つと言えるかもしれない。でも、会社の経営者側の視点からよーく制度の仕組みを考えてみると、「実はそうでもないかもしれない」とも言えるんだ。
健康保険の保険料は、ずっと上がり続けている。ということは、会社員だけでなく、会社側の負担も大きくなっているわけだ。もし経営者が、会社で働いてくれる社員のことを考えず「とにかく利益を上げたい」と考えているとしたら、何をすると思う?
「健康保険の負担が増えているんだから、その分、給与を増やさないでおこう」と考える経営者がいる可能性もあるよね? 「何とかして健康保険を支払わずにすむ方法はないか?」と考える経営者がいてもおかしくない。
そんな悪い経営者ばかりではないと信じたいし、そういった会社を選ばないようにするのが一番だけど、将来●●が就職を決めた会社の社長が、実際に働いてみたら悪徳経営者だった、なんてことも全くないとは言い切れない。そんな時でも、健康保険の仕組みを知っていれば、ちゃんとした会社かどうかを自分で判断できるはずだ。
お金に関する知識をきちんと身に付けておくことは、単にお金を貯めるだけじゃなくて、自分の身を守るためにも大切なことなんだよ。