霊能者vs声フェチ

自分のことを「霊能者」であるとか「サイキッカー」であると思った事はない。それどころか、金縛りにさえあった事がない。

スピリチュアルな世界で仕事をしていると、よくそういう「能力」を持った人達に出会うので、自分との違いがわかる。「視える」ひとたちは逆に不便な事も多く、公共の乗り物を使わず、車を運転したり。

そんな私が、一つだけ受け取れる情報がある。そして自信を持っている感覚がある。第6勘(感)でもなく、普通に聴覚だけど。

それは「声」。

リアルで対面していると、視覚の情報もあり、声からの情報が読み取れない。

がしかし、電話になると、途端にわかる。相手の心の状態が手に取るように分かる(気がする)のである。

むかし、こんな事があった。

私の留守電に何者かのメッセージ。

「もしもし?れんちゃん?おれ、〇〇やけど、ちょっと伝えたいことあるから、また電話するわ!」

と入っていた。

すごーーーーーく男前な声で。

だれだ?誰なのだ?こんな男前な知り合い…と頭を捻ったが分からなかった。しかも、自分の名前を名乗る「〇〇だけど」が、早口で、うまく聞き取れない。

うおーー。気になる。しかも電話番号は未登録。

これがオレオレ詐欺でも…この犯人には会ってみたいぞ!

と思うほどの、私が惚れる声だった。男気がある。

それで、ドキドキしながら折り返しした。

その、声イケメンは果たして私の年下の従兄弟だった。結婚するので、結婚式に来て欲しいというお誘いだった。私の母親、つまり彼の伯母から私の電話番号を聞いたらしい。

なーんだ!和くんかぁ!

それにしても、いい男になっていた。
いや、小さい頃から愛されキャラでカリスマ的だった。そういえばアメフト部のキャプテンとか言ってたなぁ…

私は一瞬でその声の持ち主に失恋した。

それはもっともっと昔、お漣(わたしのこと)が大学生の頃、学部の男の先輩からかかってきた電話でも惚れそうになった事がある。

私が大好きで尊敬していた人の彼氏だった!いつも下僕のように彼女のお世話をしていたし、バイクに乗せて足として動いていたので、彼を男として意識した事が無かったのである。

私は寝起きでその電話に出て、一気に目が覚めた。誰だこのイケメンヴォイスはーー!!!そして、先輩の彼氏と分かり、唸った。

なるほどなぁ!私が尊敬する先輩に相応しい人だわ!と、これまでの評価と160度くらい変わったのだ。

因みに、夫は、こういう感じではなく、はじめてその声だけをきいた時、(まだ付き合ってなかったし、好きでもなかった) わたしは軽やかなコミカルさと心地良さを感じた。「この声好き。落語家みたい」と思った。

結婚してみて分かったのは、彼がネアカであること。そして、ユーモアのセンスを持ち合わせている事。これは私が一緒に暮らしていく人としては外せない要素だ。それも、声からキャッチしていた。

しかしこの技は、私が私のために使えるものであり、ただ単に私が男前を感じるだけで、他の人のためのマッチングなどでは使えない。ざんねーん!

これまで、数数の恋愛いや、片想いをしてきたが、中学生の頃から友人たちに言われていた。

「お漣とは、絶対に好きな人がかぶらない」と。皆からすると、何故わたしがその人に惚れたのか意味不明という事だった。たしかに夫も50才で初婚。誰からも狙われた事がない様子で、私からすると「掘り出し物」だった。結婚して12年経つが、彼以外の人と暮らしていたら、すぐに離婚されていたと思う。

そんな男を声で見抜いた私。
堂々たる声フェチである。

なるほど。ここまで書いて1456文字らしい。右下に文字数があらわれる(iPhoneの)仕様いいね。

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