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リフアト・アルアライールの詩
イスラエル軍の空爆により殺害されたパレスチナを代表する詩人、リフアト・アルアライールの詩が紹介されていた。
西宮公同幼稚園の「きまぐれえんちょうのきまぐれだより」に掲載されていたのだ。そのまま転記しようと思う。
もし私が死ななければならないのなら
もし私が死ななければならないのなら
あなたは生きなければならない
私の物語を伝えるために
私の遺品を売り
布切れと少しの糸を買うために
(長い尻尾のついた白いものにしておくれ)
ガザのどこかにいる子どもが
天を仰ぎ見て
炎に包まれ旅立った父を待つときー
その父は誰にも別れを告げられなかった
自分の肉体にすら
自分自身にすらー
あなたが作る私の凧が
舞い上がるのを子どもが見て
ほんのひととき天使がそこにいて
愛をまた届けに来てくれたと思えるように
もし私が死ななければならないのなら
それが希望をもたらしますように
それが物語となりますように
If I must die
by Rifaat Alareer
If I must die,
you must live
to tell my story
to sell my things
to buy a piece of cloth
and some strings,
(make it white with a long tail)
so that a child, somewhere in Gaza
while looking heaven in the eye
awaiting his dad who left in a blaze-
and bid no one farewell
not even to his flesh
not even to himself-
sees the kite, my kite you made, flying up above
and thinks for a moment an angel is there
bringing back love
If I must die
let it bring hope
let it be a tale
『物語ることの反撃』という本かららしい。
全く死ぬ必要のなかった才能豊かであたたかい眼差しを持つ詩人。彼が消された不思議を思う。暴力的だ。そこにどんな言い訳ができるだろう。
しかしこの人が物語に託す想いは連綿と連なり続けて、世界の狂気をもストーリーの一つに変えて押さえ込むようだ。尊い。何が?彼の想いが。
詩人がつむぐ言葉によって、世界が愛のある場所へ正されていく。そしてこの軽やかさの中に彼の魂が生きて讃歌している。この詩を読んでいたら、戦時下でも自分の中心軸からブレないでいられるような気がする。