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STEP144 米粉のお菓子は脱酸素剤を入れたら固くならずに済みますか?

米粉のお菓子や米粉のパンを販売するお店がとっても増えてきましたね!
このnoteを執筆している現在では大手の菓子メーカーパンメーカーでは100%米粉のお菓子やパンはあまり多くなく、個人の小さなお店が販売することで喜んでくださるお客様がとても多いなと思います。

しかし!
米粉商品には米粉ならではのちょっと困った特徴がありますね。
それは時間が経つと硬くなりやすいというもの。

クッキーなどは良いとしてもパウンドケーキやパンなど、しっとりふわふわ系の商品はどうしても時間が経つと硬くなりやすい傾向にあります。

そこでよく聞かれるのが「脱酸素剤を入れたら日持ちするんですよね?米粉のお菓子も固くならないってことですよね?」という質問。

これ、答えますと…


●米粉のお菓子は脱酸素剤を入れたら固くならずに済みますか?

脱酸素剤を入れたからと言って米粉のお菓子やパンが硬くなるのを防げるわけではない!です。

確かに、パウンドケーキなどは脱酸素剤を入れることで日持ちを延ばしやすくなります。
ただ、別に脱酸素剤って入れたらそれだけでおいしさと安全が長続きするような魔法はないのです。

米粉のお菓子やパンが硬くなる傾向にあるのは何が理由でしょうか?

それはでんぷんの老化です。


●でんぷんの老化とは?

皆さん、「でんぷんの老化と糊化」って意味わかりますか?
「α化(アルファ化)とβ化(ベータ化)」とも言います。
これ、製菓理論で必ず出てくるものですね。

普段のご飯を考えるとわかりやすいです。
生のお米って硬いですよね。
でも、お水を吸わせて炊飯するとふっくら柔らかいおいしいご飯になります。
これが糊化、α化という現象。

では、食事の後、残りご飯をそのまま放置したらどうなるでしょう?
だんだんカピカピになって硬く、パサパサになりますよね。
これが老化、β化という現象。
すごく身近な現象ですね。

これ、米粉のお菓子やパンでも同じことが起きます。


●脱酸素剤の使用目的

では本題に戻ります。

脱酸素剤は文字を見てわかる通り「脱」「酸素」なので、酸素をなくすことによって酸素の関わる劣化を抑えることができるものです。

米粉のお菓子は脱酸素剤を入れたら固くならずに済みますか?
という質問は酸素をなくすことででんぷんの老化現象を止められるかどうか、というのがポイントですね。

答えはNO!です。
このでんぷんの老化現象は酸素をなくしたからといって止められるものではないです。

脱酸素剤を入れて酸素をなくすことでカビや一部の菌の増殖など酸素に関わる劣化は抑えられるので日持ちを延ばしやすくなりますが、脱酸素剤を入れたところで、でんぷんの老化が止まるわけではないので硬くなるのを防げるわけではないですね。

なので、硬くなるのを防ぎたいという目的で脱酸素剤を入れるのは間違いですね。


●お菓子の劣化の理屈を理解しよう。

こんなふうにお菓子の劣化も理屈があるのです。

その劣化を防ぐために乾燥剤や脱酸素剤を入れたり、賞味期限を正しく設定することで劣化する前に食べていただいたり、お菓子を売りたいのならおいしくて安全なまま食べてもらう包装を自分で考えることが大事なのです。

考えるのに必要な知識はコース講座で詳しくお伝えしています。

では、米粉のお菓子やパン、どうやったら硬くならないようにできるでしょうか?
次回書きますね!


この記事は内野未紗が配信する
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